甲府


2012年4月29日


今回は甲府に行きました。
甲府に行って善光寺とか見に行こうというわけです。
善光寺と言えば長野ですが山梨にも同じのがあるんですね。
また小生は今から5年前に山梨勝沼ワイン旅というのをやりました。
あのときはワインを見に行ったのでワイナリーを見た旅でした。
だから山梨の県都甲府も見てみたいわけです。

例によって前の晩にネットで電車を検索してルートを決めます。
うちの方からだとまずは立川を目指してその後甲府行きに乗ればいいみたいです。
簡単じゃないですか。
久々の遠出ですから早めに行ってたくさん歩き回ろうと思いまして
普段じゃ考えられないような時間に早起きして武蔵野線に乗って
西国分寺から立川に向かいました。
立川の駅で乗るべき列車を探していたらちょうど特急あずさがくるようです。
駅のホームに特急券の自動販売機があるので特急列車に乗ることが出来ました。
自由席でしたけど余裕で座れてきわめて快適な列車の旅になりました。
うまくいくときはとんとん拍子ですね。
いろいろこうなら良いのに。
リクライニングシートの気持ちよさにうとうとしていたら
あっという間に塩山とか石和温泉の駅を見ました。
甲府の駅についてもまだ眠気は覚めていなくて
座席ベッドに後ろ髪を引かれながら下車したのでした。

新しくてピカピカな甲府駅。

甲府の駅の改札を出てすぐのところに甲府市観光案内所を見つけましたので
ここに立ち寄って市内の地図などを分けていただきます。
これを見て市内の見所と時間と体力の許すところの範囲で
今回の行くところを選びます。

外見も超近代的な甲府駅

さて甲府と言えばなんと言っても武田信玄ですね。
風林火山の人ですね。
もらった甲府市ガイドマップには
武田氏由来の武田神社がでっかく乗っていました。
まずとりあえずここに行ってみることにします。
甲府駅北口のバス乗り場から武田神社までは路線バスがあるようですのでこれを利用します。
バスに乗って少し走ると武田神社に到着です。

武田神社の壕を渡る橋。

武田神社は昔武田氏が住んでいた躑躅ヶ崎(つつじがさき)館跡に造られたそうで
広大な境内ををもっています。
神社には大きな鳥居が有って武田さんが神様になったのだと感じさせます。
高木に囲まれた大きな神社は荘厳な雰囲気を帯びて来る者を威圧します。
でも確か武田信玄は出家して入道になっていたはずですけど
その辺の整合性はどうなっているのでしょうかね。
仏教徒が八百万の神を信じることへの違和感がないのが日本の特徴ですね。

ともあれ神社に参拝していろいろお願いします。
参拝後は本殿の隣の宝物殿に行きました。
宝物殿の前にハローキティちゃんの石像がありました。

そういえばサンリオの社長さんは山梨県出身でしたね。

本殿の奥の方ではなにやら雅楽のようなものが聞こえてきます。
よく見ると男の子が羽織袴を着てお祝い事をしているようです。
時期的に端午の節句のお祝いをしているようです。

また神社の境内には能舞台も有りました。

何故か厳かな感じの能舞台。神社の境内だからか?古典芸能の舞台だからか?

以前見た大宮神社にもこのような舞台がありましたことから見ると
神社に舞台はつきものなのでしょうか。
相変わらず無学なことです。

能舞台のそばの芝生にはさっきまでなかったのにいつの間にか
信玄太鼓の幟を立てた太鼓実演の用意が調っていました。

たくさんの太鼓を配置して上演時間が迫って参りました。

すぐそばに太鼓の衣装を身につけた青少年男女が準備に余念がありません。
僕たちは始まる時間が明示されてなかったのでこれを鑑賞するのは諦めて
次なる目的地に進むことにします。

駅でいただいた地図に従って次は護国神社に向かいます。
僕たちが地図を見ながら歩いているとよほど頼りなく見えたのか
すれ違ったおじさんが
「どこに行くんだい?」と聞いてくれました。
護国神社に行きたいんですと言うとこの道をまっすぐだよと教えてくれました。
ところが言われたとおりまっすぐ進むと
道はだんだん細くなって山道みたいになっていきます。
数メートルごとにスズメバチが縄張りを監視していて
ちょうど僕たちの頭の高さを飛んでいます。
恐ろしいことです。
それでも我慢して歩き続けたら突然大きな鳥居の前に出ました。

護国神社、鳥居から本殿を望む。

目の前には奥深い神社の境内、背後には急な階段で隔絶された住宅街を見下ろす神社前に出たのでした。
眼下の街の遙か向こうには雪渓に覆われた
北アルプスの稜線が見える素晴らしい景色です。

日常、雪渓を見ることのない小生には不思議な遠景です。

護国神社はその名の通り戦没者のための神社でした。
都内の九段にある靖国神社と同様の設立趣旨とお見受けします。
本殿に参拝をして英霊の御霊に深い尊敬と感謝の念を捧げます。

ところで信玄公の墓が付近にあると言うことですので探してみます。
いただいた地図は些か大雑把であたりを歩き回ってもなかなか見つかりません。
困ってしまって民家の庭先に出ていたご老体に
信玄公の墓に場所を教えていただいてやっと見つけることが出来ました。
この旅は人の情けにすがって成り立っております。

武田信玄公、墓所。信玄公は大正になって従三位に叙せられたそうです。

そろそろお腹が空いてきたのでどこかで蕎麦でも手繰って一休み、
と思っていたのですがメインの武田通りに出てきても頃合いの蕎麦屋が見つかりません。
途中で山梨大学のキャンパスに迷い込んだりして
それはそれで面白かったんですけど
どんどんお腹が空いてきます。
足も疲れてきてはやくご飯が食べたいよ、って状態になりました。
まさか甲府で昼食難民になるなんて!

緑濃い山梨大学。素晴らしいキャンパスでした。

食事どころが見つからないまま駅まで戻ってきてしまった僕たちは
駅に飲食店街が併設されているのを見つけました。
入っている飲食店の名前はどの店も都内でよく見るメジャーなチェーン店です。
安心信頼のブランドですね。
でも僕たちは甲府に来たのだから甲府らしく食事がしたくて駅の反対側に行くことにしました。
そうしたら南口の方が北口よりもだいぶん繁華でしていかにも県都らしい都会っぷりです。
駅前には音に聞いたでっかい武田信玄の彫刻もあるじゃないですか。

迫力満点の今にも動き出しそうな武田信玄像。

さっき北口で無意識に探していたのはこの像ですよ。
南口見たとき駅舎が妙に新しくて近代的でおかしいと思ったんですよ。

百貨店が駅にくっついているんですね。便利な構造です。北口はもっとさっぱりしています。

それで駅の掲示板で見た蕎麦屋を探すことにします。
この時点で小生は小生の足はもう棒のようでした。
お腹も空いてるし限界が近いようです。
ところがようやく探し出した蕎麦屋はお休みだったのです。

もう僕たちは諦めて駅に戻って何か食べようと決めました。
早くお昼が食べたい、の一心のみです。
ところが駅に向かう途中、鰻屋さんの看板を見つけたので
急遽うなぎのお昼を食べることにしました。
やっぱり夏は鰻ですよね。
柔らかくて美味しい鰻を食べて人心地ついた僕たちは
やっとこれからの行動計画について思いを巡らせました。
もう遅いしあと少し巡ったら帰路につこうという計画です。
軟弱町歩き面目躍如ですなあ。

お昼を食べて満足の僕たちは元気をすっかり取り戻したのですが
どうやらそれは空元気だったようで徒歩数分の駅前タクシー乗り場に到着する頃には
食事前と同じような脚の疲労感に悩まされていました。
脚の筋肉が弱いのとスタミナがないのと気合いが足りないのと三重苦です。
何もかも駄目ですね。

と言うわけで疲れたので清水の舞台から飛び降りたつもりでのタクシー乗車になりました。
タクシーに乗って行き先を甲斐善光寺と告げると
運転手さんはすぐに僕たちに話しかけてきました。
お客さん、今日は観光ですか、に始まって話題は多岐に亘って
甲府の蕎麦屋で開発されたという甲府名物のB級グルメ鳥もつ煮とか
山梨県立美術館にあるミレーの絵とか
今開催中のマリー・ローランサンと東郷青児展の話とか
心洗われる恵林寺の名庭園の話とか縦横無尽です。
それでいて観光客の興味である山梨の紹介の軸は外しません。
素晴らしい無料ガイド付きのタクシー乗車なのでした。
甲斐善光寺に近づいても名調子は止まりません。
長野の善光寺と比べてもその規模はほぼ同じに造られているとか
門前の仲見世は造られていないとか到着前のレクチャーも十分です。

運転手氏は「かいてらす」に触れることも忘れませんでした。
かいてらすは山梨の特産品の展示販売をしている
県内のアンテナショップみたいなものですね。
ここに来れば山梨の果物やワイン、工芸品の印傳、宝飾品その他
幅広い山梨の魅力を知ることが出来るわけです。
僕たちはここで信玄餅と兵糧丸というお菓子を買いました。
印傳や宝石じゃなくて結局お菓子かよ。

タクシーを辞して善光寺に参拝します。

甲斐善光寺山門。奥に本堂が見えています。

確かに以前見た長野の善光寺によく似た雰囲気を醸し出しています。
それもそのはずこの寺は元々善光寺のスペアとして武田信玄が創建したものなんですね。

善男善女が参拝する善光寺です。


参拝をすませると有料で本堂の中にはいることが出来ます。

祭壇の前のおおきな板間は鳴き龍の声が聞こえる場でもありました。
下に立つ人の拍手が龍の絵が描いてある湾曲した天井に反射して
回折して合波した音が聞こえてくるという仕組みです。
日光にもあるやつですね。

僕はお戒壇巡りに興味があります。
以前長野の善光寺で経験したお戒壇巡りは前後にオバタリアン軍団がいて
「あら、これ誰の手?」
「いやあねあたしのよ。」
「あらここに壁があるわ。」
「ちょっと、押さないでよ。」
と騒がしい限りだったのです。
せっかくの漆黒の闇が全然迫力無かったのです。

ですから小生は二度目でもはじめてのような経験をこのお戒壇巡りで体験できるというわけです。
お戒壇巡りは前回同様階段を下りるとたちまち漆黒の闇を経験することになりました。
本当に何も見えない真の闇です。
物理学上はそんなことはあり得ないんですが
視細胞の光を感じる閾値を下回る光量しか無ければ闇を感じるはずですね。
それにしても真の闇を体験することは日常生活においては
ほとんどありませんので素晴らしい経験なのでした。

本堂の板敷きのすみにさっき武田神社で見たキティちゃんの石像の小さいのを見ました。
これは地元の石材店さんがサンリオとコラボで
様々なサイズのキティちゃんの石像を製造販売しているのだそうです。
そのことを書いた新聞記事が一緒に貼ってありました。

善光寺の隣にあるかいてらすの前には甲府駅に通じるバス停がありました。
一時間に一本の発着です。
かいてらすで40分の買い物時間を見るとちょうど良いようです。

40分買い物して信玄餅と兵糧丸かよ、けちだね。いや、帰りの荷物が重くなるから。

それにしても買い物客の行動を考えると一時間に一本とは心憎い時間設定ですね。
思わず宝石を買いそうに成っちゃった時間の余り方でした。
買わなかったくせに。

買い物の後バスに乗るとすぐに甲府駅に着きました。
僕たちはまたあずさをゲットして帰路についたのでした。
復路の電車は案外混んでいて僕たちは一人ずつ離れて座っての列車旅になりました。
自由席ですからね。


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