益子



2009年09月23日


益子
栃木県に益子という町があります。
あの陶器の益子焼きで有名な町であります。
一度行ってみたい町でありますね。

益子焼きは
江戸末期に笠間で修行した大塚啓三郎さんという人が
益子に窯を築いて始まったのだそうです。
笠間の方が古いんですね。
それが大正末期にこの地に移住した
濱田庄司さんという陶芸家によって
益子焼きの存在感が強くなったわけです。
特異な才能を持った芸術家が一時代を築いたということですね。

それをきっかけに仲間の陶芸家や弟子の陶芸家が増えて
今も益子の町は非常に陶芸が盛んな町で
実用的な皿小鉢とともに
才能あふれる若い作家の
芸術的な陶芸作品もたくさん焼かれています。
文化の薫り高い素晴らしい町です。

うちの方からは益子の町ははなはだ行きにくくて
JRで小山に行って水戸線で下館にいって
しかるのち真岡鉄道に乗り換えて益子に至るわけです。
途中では小山で降りるはずが寝過ごしてしまって
一つ先の小金井駅を通り過ぎて
二つ先の駅の自治医大まで行って
小山まで戻らなければならないなどの
幾多の困難も待ち受けています。
いやぁ、やっぱ益子、遠いです。
いやいや、寝過ごしたのは自分の責任でしょ。
つーか、自治医大ってこんなところにあったのか。

下館の駅で真岡鉄道に乗り換えようとしたら
蒸気機関車が止まっていました。

蒸気機関車は大人にも子供にも人気がありますね。
この線ではときどき蒸気機関車を運行して
お客さんに楽しんでもらっているらしいんですね。
我々の世代くらいまでは蒸気機関車を懐かしく感じると思いますが
今の若い人たちには懐かしくはないでしょう。
蒸気機関車がどうしてあんなに人気があるのかちょっと不思議です。

我々が乗る車両は写真の緑の車両でした。

これが一両でトコトコ走るわけです。
すぐあとに蒸気機関車の走る予定があるみたいで
駅のホームはそちらが目当てのお客さんで一杯でした。

真岡鉄道に揺られて45分ほどで益子駅に着きます。
益子駅はきれいに整備されたさっぱりとした駅です。

清潔感のある益子駅。
駅のすぐそばにある観光協会で
町の地図をいただいてついでにいくつかパンフレットもゲットします。
そこでまず最初に行こうと思っていた
益子参考館への行き方も教わります。
観光協会ではシルバーな人材と思しき方が親切に教えてくれます。
「バスで参考館には行けますよ。バス停はそこにあります」
そうかバスがあるのか。
ちょうど益子の町では「土祭」(ひじさい)という催し物をやっていて
町を挙げてのお祭りムードです。
あとで聞いたら今年が初めてのお祭りなのだそうです。

我々はまず益子参考館までバスで行って
そこから徒歩で駅まで戻ってくるという計画を立てました。
それだと3キロくらい歩けばいい計算です。
あちこち寄り道しながらで
延べ5キロくらい歩くことになってちょうど良いくらいです。
巧い具合にバスがあったので
これにとびのって益子参考館に向かいます。
車窓から見る益子の町は想像以上に栄えていて
これなら参考館からの帰り道が楽しみというものです。

益子参考館前のバス停で降りた僕たちはもうすっかりお腹がすいていて
見ると目の前におそば屋さんがあるじゃないですか。
これはもう入るしかないわけで
ここで美味しいおそばで腹ごしらえをしたのでした。
さてこれからが益子探検です。
つまり益子観光を始めたのがお昼からだったわけですね。
いいんです、どうせ3〜4時間歩くと疲れちゃうんですから。

益子参考館は非常に見応えのある施設でした。

益子参考館、参考になります。
益子焼きにおける巨人、濱田庄司氏の
私邸を後進のために公開したものらしいですが
素人が見ても十分楽しめるものでした。
特に登り窯の迫力に魅せられました。

大迫力登り窯。
夢中になって写真を撮っていたらその奥の
もっと大きな登り窯を見てもう一度驚いたのでした。

超巨大登り窯。魔神ブーの住まいみたいでした。(誰も知らないってば)
その内部も覗き込めて興味津々です。

登り窯内部、ひと一人やっとです。これが横方向にいくつもあるんです。
あの窯の内部が1000度以上の高温になるなんて
信じられない気がします。
凄いです。

ここには工房もあって蹴轆轤(けろくろ)という足で回すロクロが並んでいて
往時を偲ばせる雰囲気がありました。
工房の中には制作中の陶芸家の張り詰めた空気が
未だ残っている気がしました。

益子参考館を辞して町に向かいます。
みちすじの里山通りには民芸店がたくさん店開きしています。
道のあちこちに白い板をくりぬいて作った音符が吊り下げてあります。
後で考えたらこれも土祭の一環だったんですね。

益子の陶器の販売店が集まる
共販センターというのがあったので立ち寄ってみました。
駐車場は車でごった返しています。
連休ですからね。
駐車場の入り口付近の店の前に
(俗に信楽焼と呼ばれる)狸の置物がありました。

もちろんこれは信楽焼じゃなくって益子焼きと言うべきですね。
この狸の大きさは半端ではなくて
そばにいる人の大きさから想像して高さは約5メートルほどと思われます。
あれは焼き物じゃないですね、いくらなんでも。

あまりの人混みに僕たちはここを早々に立ち退いて
陶芸メッセ益子に立ち寄ってみることにしました。
ここにはあの濱田庄司師の旧宅があるのだそうです。
益子の町は濱田庄司先生の影がついて回るのね。
長い坂を登って陶芸メッセの門をくぐります。
かなたに濱田翁の旧宅が見えます。

旧濱田邸、右の屋根の下に登り窯。
濱田氏旧宅に上がり込んで
気分は陶芸家になっていっぱしの文化人です。
「ふむ、どうかね最近は、焼けてるかね」なんて言うのかな。

次は美術館の方に行ってみます。
行く途中の橋に焼き物についての解説が張り出してありました。
それによると焼き物には
土器、陶器、b器(せっき)、磁器があるのだそうで
吸水性の大きい順に
土器(縄文式土器、弥生式土器、瓦など)
陶器(益子焼、萩焼、志野焼など)
b器(備前焼、万古焼など)
磁器(有田焼、九谷焼など)
というのだそうです。
さっき文化人になった僕は知りませんでした。
勉強になりました。
やっぱり文化人じゃないみたいです。

美術館は併設の喫茶店があって
ここで美味しいコーヒーとケーキをいただきました。
ここのウリは自分が飲むコーヒーの器を選べることです。
もちろん全部益子焼きのカップですね。
店内では益子焼きの解説ビデオを流していてこちらも勉強になりました。

美味しいケーキとコーヒーをいただいて満足した僕たちは
再び町に降りて商店街を散策します。

おおむねこんな感じの店がたくさんあります。

ある店でみかけたご飯茶碗とどんぶりが僕たちを魅了しました。
作家さんの名前付きで販売されていたものでしたが
その素晴らしい出来栄えと
コストパフォーマンスの高さに負けていくつかを購入
これを自分たちへのお土産としたのでした。

駅に向かう途中で美味しそうな栗を売っている店を見かけて
我慢できずにこれも購入、荷物は重くなるばかりです。
早く帰らないとお土産が増えてきそうでやばいです。

道に面した空き地に益子の土人形が沢山並べてあるのを見ました。

いい感じです。五百羅漢みたい。
この人形は町のあちこちの門の上、塀の上にも置いてあります。
それぞれが思い思いの顔をしているので大変面白いです。
益子の町は頑張っています。

益子駅はよく見ると小さな駅で
町の大きさからするともっと大きな駅があっても良さそうなものです。

この辺の人は移動は車で済ますからいらないのでしょうか。

この駅からまた長い時間電車に乗って家に向かったのでした。
帰り道でも小山の駅で乗り継ぎのホームで待つ電車を乗り間違えて
逆方向に一つ目の小金井駅まで行ってしまったのは内緒です。
やっぱり益子は遠いです。(お前のせいだろ)

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