2007年09月03日


暑さもやわらいだ日曜日
どこかで町歩きを楽しもうと思い立ちまして
埼玉県蕨市を散策することにしました。
蕨市は日本一小さな市で日本一人口密度が高い市なのだそうです。
知りませんでした。
また蕨市には小生の父方の従姉妹が住んでいます。
数年前に叔母の通夜で行ったことがありました。
さらに河鍋暁齋記念美術館がありますので
そちらを見学したこともあります。
つまり二度ほどこの町に来たことがあるわけですね。

しかしまちなかを歩いた訳ではなく
用事が済んだらすぐに帰路につきましたので
町の様子はさっぱりわかりませんでした。
今回が初めての蕨散策という訳であります。

広々蕨駅改札口
日曜日の朝たっぷりと睡眠をとって
いつものように遅い旅立ちとなった僕たちは
蕨の駅頭に立った時すでにお昼を回っていて
お腹はいつものようにぺこぺこでした。

蕨駅東口
蕨駅は東口と西口に分かれていますが
僕たちは最初東口に降りたって昼食をとるところを探しました。
駅前に立つと右手に塚越商店街、左手に飲食街の看板が見られます。
僕たちは看板に誘われて飲食街のアーチの方向に進みました。
しかしそれは大きな間違いで飲食街に僕たちが求めた飲食店はなくて
スナックやパブ、カラオケ、居酒屋の看板が林立しています。
そこは昼食を食べるようなところではなくて夜の繁華街なのでした。

あたりを一巡りして駅に戻った僕たちは途方に暮れましたが
空腹はさらに強まってもはや一刻の猶予もありません。
仕方がないので駅にはめ込まれた
BECK’S COFFEE SHOPに入ることにしました。
困ったときのコーヒーチェーン店ですね。
サンドウィッチとカフェオレが大変美味しかったです。

お腹が満足した僕たちはさっきから気になっていた
塚越商店街を歩いてみることにしました。
日曜日のせいもあって商店街には大勢の人が繰り出していて
大変賑わっていました。

買い物客でにぎわう塚越商店街
商店街はやっぱり女性洋品店や化粧品店が多くて
どうしても女性向けですね。
手持ちぶさたな男性陣を多くお見かけしました。

塚越商店街探検を終えた僕たちは橋上駅を乗り越えて
駅の反対側の西口に行ってみました。

蕨駅西口

西口駅前は東口と違ってずいぶん落ち着いた佇まいの町並みでした。
こちらの方が昔からの町並みのようにも感じられます。
中山道側ですからね。

今回我々は蕨ののなかでも特に旧中山道を見たかったです。
しかし基礎知識の乏しい僕たちは
蕨駅から旧中山道への行き方がわかりません。
駅まで行けば何とかなるだろうと
実にいい加減な計画の町歩きなのであります。

しかし蕨市は僕たちを見捨てませんでした。
僕たちが西口駅に行ってみると駅に可愛いバスが止まっていました。
バスは僕たちを手招きしているようです。

バスには「ぷらっとわらび」と大きくプリントされています。
引き寄せられるようにバスに近づくと
どうやらこれは市内循環バスのようです。
運賃はどこまで行っても100円だそうです。
市内を循環するならこれに乗れば
市内の主なところはいけるのではないかと考えて
とりあえずこのバスに飛び乗りました。
出会いを大切にしなくてはいけませんですね。

狭いバス車内
バスに乗って走り始めてから社内の掲示を見て巡回バスの仕組みを理解しました。
この「ぷらっとわらび」には東ルートと南ルートと西ルートの
三つのルートがあるのでした。
我々が行きたい市役所周辺は西ルートでした。
困ったことは今乗っているのは南ルートであると言うことでした。

それで観念して南ルートからの車窓からの風景を楽しんで一周して
駅まで戻って西ルートに乗り換えて市役所に向かうことにしました。
バスは小さな車体を生かして思いがけないほどの狭い道に入り込んで
市内の住宅地を縦横に走り抜けます。
ここまできめ細かく住宅地を網羅すれば蕨の人は便利でしょうね。
これで100円じゃ安いです。

ところで蕨市駅で南ルートから西ルートに乗り換えようと思っていたら
バスの車内アナウンスで耳寄りな話を聞きました。
運転手さんに乗り継ぎ券を発行してもらえば
なんと追加の費用なしで西ルートに乗り換えられるというじゃないですか。
それで試しに運転手さんに頼んでみたら
快く乗り継ぎ券を発行してくれました。

それで首尾良く僕たちはたったの100円で
南ルートの全てと西ルートの大部分を乗ってしまったのです。
嬉しかったですねえ。
でもこんなんでバスの経営は大丈夫なんでしょうか。
蕨市さんごめんなさい。

南ルートの途中には三学院という大きなお寺がありました。
数年前に僕たちは叔母の通夜でここに来ました。
昼間改めてみると実に大きなお寺であります。

西ルートのバスは南ルート同様狭い路地をくまなく回り
各バス停のお客さんを拾い上げていきます。
きびきびと心地よい走りです。

蕨市役所でバスを降りていよいよ町歩きです。

日曜日だから閑散としている市役所
少し歩いて旧中山道に沿った宿場町の通りに出ました。
ここは蕨宿の中でも
本陣や旅籠が軒を連ねる町場(町方)と言われる地域です。
蕨宿は用水に囲まれる町場と
その外側の農村部(村方・在方)で構成されていたそうです。

街道をゆっくりと南に向かって歩いていたら
蕨市立歴史民俗資料館分館という施設を見つけました。
入場無料と言うではないですか。
図々しく入っていって見るとシルバー人材な人たちが
庭掃除をしていました。
彼らは多いとは言えない見学者を歓迎してくれました。
分館の建物は昔の織物買継商の家だそうで
蕨が昔宿場町としてだけではなく織物でも栄えたことを示しています。
古い木造の建物は見学自由で
おかげでゆっくりと館内を見学してトイレまで借りてしまいました。
蕨市さんありがとう。

分館を出て今度はゆっくりと北に向かいます。
そうすると町場のほぼ真ん中あたりに本陣の跡があります。
これに隣接して蕨市立歴史民俗資料館がありました。
ことらが本館というわけですね。

こちらも嬉しい入場無料です。
資料館の展示は圧巻でした。
蕨宿の歴史をよく伝えていて無知な小生には大変勉強になりました。
多くの資料が昔の蕨宿を想像する助けになりました。

また旅籠に投宿する客とその足を洗う女中が今にも話しだしそうな塑像の
圧倒的な臨場感に目を奪われました。

今にも話し出しそうな動き出しそうな塑像
そのほかにも蕨の昔の隆盛があちこちに感じられて
蕨って本当は凄いところなのだと実感できました。

そのあとゆっくりと蕨中央商店街を歩いて駅に戻りました。

蕨中央商店街
僕たちはそれぞれに若いとき長い時間を浦和で過ごしましたが
今まで蕨という町をよくは知りませんでした。
今回この町を歩いて我が身の不明を深く恥じたのでありました。
人生は勉強であります。
すぐ忘れるけど。

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