箱根周遊




2004年09月19日


箱根周遊
前回7月に行くつもりだった箱根に遂に行きました。
遠いところまで行くと疲れがたまるので
連休がくるのを待っていた訳なんですね。
翌日も休みであれば思う存分歩き回れるというわけですね。

連休の初日を利用しての日帰り旅行に出かけようというわけです。
以前に利用したロマンスカーにでも乗って
(混んでたら普通電車でもいいやって思っていたんです)
箱根湯本に出て箱根登山鉄道に乗って強羅に行ったあと
強羅の町を散策しようという計画ですね。
僕は未だ強羅に入ったことがなかったのでとても楽しみでした。
強羅でいくつかおみやげでも買って
しかるのちケーブルカー、ロープウェーと乗り継いで芦ノ湖畔に到着
遊覧船に乗って箱根町に出て東京方面に帰って来るという
完璧な計画です。

予定よりも少し遅れて出発、これもまたいつも通りであります。
(だって出かけるのが面倒なんです。
旅行ってっ出かけてしまえば良いんですけど
出かけるまでが面倒なんですよね)
新宿駅に着いた僕たちは予想通り
ロマンスカーの客にはなれませんでしたが
一般の電車の急行にしっかり座席を確保して
快適な電車の旅を楽しんだのでありました。

              右が小田急線、左がロマンスカーですね
箱根湯本は遠いですけれどこの小田急線の沿線には
下北沢とか新百合ヶ丘とか僕が旅行記で
取り上げたことのある街が多くて飽きることがありません。
どの街にもそれぞれの愛着があるのであります。
しかし小田急沿線に対する興味も睡魔には勝てず
町田あたりから僕の記憶は薄れて
はっと気づいたら箱根湯本に到着していたのでありました。
すごい、テレポーテーションみたい。

この時点でまもなくお昼になろうとしていましたので
僕たちは箱根湯本の街でお昼を食べることにしました。
よく知らない街でお昼を食べるのは冒険でありますが
食べないわけにも行きませんので手元のガイドブックを参考に
「智路留」という名の喫茶店に入ってランチを食べることにしました。
期待通りのおいしいお昼を食べることが出来ました。
良かった。

駅に戻っていよいよ箱根登山鉄道に乗ります。
箱根登山鉄道はさっき降りた
小田急線の同じ駅の反対側のホームから乗ります。
さすがに連休の最中だけあって乗客がいっぱいです。
ホームには人があふれんばかりであります。
そのうち駅員がハンドマイクでなにやら放送を始めました。
その内容を聞いて僕たちは驚きました。
強風のため一部ロープウェイが運行を停止しているというのです。
一部停止していたら全部無いのと同じです。

僕たちは困ってしまいましたが
ここで迷っていても仕方がありませんので
とにかく強羅まで行ってみようと腹を固めて
箱根登山鉄道に乗り込むことにしました。
幸いケーブルカーは動いているようですので
強羅から早雲山までは行くことが出来るようです。
せめてそのくらいまでは行かなくちゃ
フリーパスがもったいないというものです。

僕たちが覚悟を決めたその直後に
ハンドマイクは新しい情報を伝えました。
風が収まってきたのでロープウェイの運行を
再開することになりましたというのです。
僕たちも僕たちの周りの乗客も皆ほっとしたような顔をしています。
みんなそれぞれ予定が有って来ているわけですから
予定に変更があっては困るわけですね。
それにしても家を出るときはあんなに晴れていたし
箱根湯本でもわずかに雨が降っているかいないか
という程度の曇り空でしかないのに
箱根の上の方ではロープウェイの運行に支障が出るほど
天気が荒れているのでしょうか。

あんなに大勢の人が待っていたのに三両編成の箱根登山鉄道は
ホームの人をすべて飲み込んでしまいました。
意外とホームが狭かったんですね。

                          混雑している登山鉄道車内
箱根登山鉄道は順調に運行していました。
前の車両を見ると前後の車体が大きくずれて
脱線しそうに見えるのは昨年感じたのと同じですが
今年はもう慣れて特に恐怖を感じません。
いつもながら人間の順応性には驚くばかりです。
すぐ鈍感になってしまうのですね。
あの珍しいスイッチバックでさえ
なにやら当たり前のことのように感じられます。
途中で運転手さんと車掌さんが
入れ替わるなんてすばらしい裏技ですよね。
考えた人偉い!

こうして僕はあこがれの強羅に到着したのであります。
強羅の駅に到着しましたので
この後はケーブルカーに乗るわけです。
でもその前に少しだけ強羅の街を見学することにします。
強羅はそのむかし北杜夫が
父親の斎藤茂吉と夏を過ごしたと聞きます。
斎藤茂吉の別荘があったわけですね。
ですから僕はどんな街なのか是非見ておきたかったんです。
思ったよりもあれな街でしたね。

                              意外にあれだった強羅駅前通り
駅から数分歩くともうすっかり寂れて商店が途絶えて
後はぽつんぽつんと散在するばかりです。
きっともう少し探せば
もっと繁華なところもあるのでしょうけれども
僕たちにはそんな時間はなくて小粒の雨も降り始めて
このままではまたロープウェイが止まってしまうおそれもあるため
強羅探検はほどほどにして
ケーブルカーに乗って先に進むことにしました。

ケーブルカーはあまりの混雑で乗車制限をしていました。
あんまり乗ってケーブルが切れてしまうと困りますので
人数の制限も時には必要でしょうね。
とはいうもののそれは一般論ですね。
ケーブルカーの乗車制限は僕たちの直前で始まって
僕たちは次の客車が来るまで待つことになりました。
なんたることかと思いましたね。
このような事態を避けるためにも
大勢のお客が来てもさばけるだけの太いケーブルと大きな車両を
用意して観光シーズンを迎えるべきですよね。

駅の人たちが大声で業務連絡をしています。
「180人にしてくれ、200人だとちょっときつい」などと叫んでいます。
そうしたら切符きりの駅員が突然僕たちに
「後20人ほど乗れます」と言って
僕たちをケーブルカーに乗せてくれたのです。
ラッキーであります。
次の便までとこの場を離れていたら
この幸運には恵まれなかったことでありましょう。

乗車制限しているくらいですから
ケーブルカーの内部は大混雑でありましたね。
中程の人が奥に進まないため
入り口付近はぎゅうぎゅう詰めなのでした。
そのうち少しずつ状態は改善して
楽に立っていられるようになりました。

                       きつきつケーブルカー車内
さすがにケーブルカーは急角度の登りでして
登山鉄道の比ではありません。
当たり前ですね。

ケーブルカーが登り切ったところに早雲山駅がありまして
晴れていればさぞ見晴らしが良かろうと思われるところでしたが
この山頂付近の駅では辺り一面が濃霧に囲まれて
つまりは僕たちは雲の中にいるらしいのですな。

ここで僕たちは面白いものを売っているのを見ました。
名付けてぷるぷるゴンドラ。
これはまごうことなき
うちで愛用のブルブルシリーズ、ゴンドラ版じゃないですか。

  かわいいぷるぷるゴンドラ
ここからはさっきまで運行を停止していた
ロープウェイに乗るわけですが
思ったより大きいゴンドラに15人ほどずつ乗せられます。

                           新型の方のゴンドラ
僕たちが乗った箱には大学生とおぼしき集団が
男女取り混ぜて10人くらい乗っていました。
これがうるさいうるさい。
静かにしているのが耐えられないのか
誰かがつまらないジョークを言うと入れ食い状態で受けています。
特に女の子たちが声を揃えてどっと笑うのです。
その声でケージの中は耐え難いうるささです。

自分も昔この集団の中にいたような気もしますし
我が子もいずれこの集団の一員になるのだろうと考えると
邪険にも出来ませんが
もう少し周りの迷惑を考える人になって欲しいものであります。

ところでロープウェイはケーブルカーと違って
足が地に着いていないわけですから
よく考えると恐ろしい乗り物です。
自分たちの足の下は全くの空間なわけですから
ロープが切れたらちょっとやばいですよね。
勢いよく駅から出発した僕らのゴンドラの足の下は
思いがけないほどの空間が広がっていました。
思わず足がすくみます。

それでもようやく慣れてきた頃突然強い風が吹き出しました。
ゴンドラの周りにヒューヒューという風きり音が聞こえます。
少しゴンドラも揺れているようです。
これは恐ろしかったですね。
さすがさっきまで運転を
中止していただけのことは有ると思いました。
こんなことならもうしばらく運行を中止して
乗せてくれなければ良かったと思うほど怖かったです。

やっとの思いで大涌谷駅に到着
ここで別のロープウェイに乗り換えです。
とにもかくにも一度地に足をつけたかったので
途中下車はうれしかったのですが
次に乗るべきゴンドラを見てちょっと不安を感じました。
今まで乗ってきたロープウェイに比べると
二回りほど小さくて二回りほど古いのです。
大丈夫なのかこれで。
いや大丈夫なんでしょう、今までだって
ずっとこれでやってきたんですからね。
いやでもだってだいぶ小さくないですかこれ。
そんなことはありません、さっきのは18人乗りで
これは13人乗りですからそれほどの差はありません。
そおかなあ。
と言うような質疑応答が僕の中で繰り広げられたのでありました。

これが案外大丈夫で、僕たちが慣れたせいもあるでしょうし
さっき通ってきたところよりも風が弱い区間なのか
それほどの恐ろしさはなくてむしろ少しの風きり音が
スリルに感じて面白かったくらいです。

                                     スリルが楽しい旧型ゴンドラ
やっぱり人間というものは
すぐ慣れてしまう鈍感な生き物なんでしょうね。
(個人の問題を一般論にする奴)

小さい方のロープウェイには
先ほどの大学生たちは同乗していなくて良かったんですけど
変わりに大学生くらいのカップルがいちゃいちゃしておりまして
親に内緒で箱根に旅行しているらしく周りに人が沢山いるのに
お母さんにばれたら怒られちゃうね」とか
軽く新婚気分だね」とか
親が聞いたら恥ずかしくて舌かんで死んじゃいたくなるようなことを
言い合っておりました。

厚い雲のむこうに芦ノ湖がうっすら見えたときはうれしかったですね。
何というか達成感?みたいなものを感じました。
こらこら、何もしてないだろうが!

無事桃源台駅に到着売店など眺めて一息ついていたら
館内放送で
「風が収まりましたので遊覧船の運航を三時から再開いたします」
と言うではないですか。
あと15分くらいですね。
もしかして僕たちすごくラッキー?
僕たちはそれと知らずにちょうど良い時間に
ロープウェイで降りてきた訳なんですね。

そう言うわけですんなり遊覧船の人となり
元箱根の波止場まで二等船室で過ごしたのでした。
遊覧船はどういう訳か海賊船の姿をしておりまして
なぜ芦ノ湖に海賊船が?と言う
根元的な疑問は聞いてはいけないことのようでした。

                           夢いっぱいの海賊船、おいおい
最初に考えた人はここを遊園地か何かだと思ったんでしょうね。
そうしたら子供に人気が定着してやめられなくなったと考えるのが
一番好意的な考えですね。
それにしてもあの趣味の悪さはどうでしょうか。
教育的観点からしてもすぐに廃船にするべきでしょうね。
醜悪の一語に尽きます。
見晴らしの良い一等船室を盛んに売り込んでいましたが
この霧の中どう考えても見晴らしの良かろうはずはありません。

元箱根の波止場からは
首尾良く湯本行きの高速バスに乗ることが出来ました。
これが一般道の渋滞を尻目にすばらしく快適で
ちょうど30分で湯本駅に到着したのでありました。
今はこの不景気で箱根観光に来る人たちも
高速道路には乗らないのでしょうかね。

箱根湯本駅では少し時間がとれたので
おみやげ屋さんを徘徊しましたが
今更欲しいものもなく遂に何も買わないで帰ってきてしまいました。
悪い観光客であります。

帰り道もロマンスカーはとれなくて
またまた急行の座席でうとうとしながらの電車の旅でありました。
今回の旅は天候や時間の関係で乗り物を乗り継ぐことに
精力を傾けざるを得なかった少々不本意な旅でありました。
この次はもう少しゆっくりと箱根を回りたいと考えています。

それにしても今回登場した乗り物、
新宿を出てから新宿に帰ってくるまで
そのすべてがフリーパスで追加料金なしでありました。
これは結構お買い得なのではないかと思いますね、
晴れていれば。

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