銚子電鉄




2009年05月05日


銚子電鉄
貴重な黄金週間を有意義にすごそうと考えて
前回の箱根に続いて
今一度遠出をして見聞を広めることにしました。
町歩きの遠距離版ですね。
今回は銚子電鉄に乗ってみる旅です。

朝8時に市役所の無料駐車場に車を止めて
駅に向かいます。
東上線山手線と乗り継いで日暮里駅に至ります。
ここから京成線で成田に向かうわけですね。

昔は成田に行くのには京成線で行くのが代表的でしたが
JRのホームから京成線のホームに移動する際に
階段がスーツケースを引きづりながら登るのがつらくて
大変な難所でした。

ところが今回久しぶりに日暮里駅で京成線に乗り換えて驚きました。
エレベーターやエスカレーターが充実して
スーツケースの人に優しい駅になっていたのです。
これならこの駅から成田に行くのも苦じゃないと感じました。

その京成日暮里駅から特急電車に乗って一時間、
京成成田駅で下車します。

初めて降りました京成成田駅。
成田空港駅まで行かないのがこつですね。
歩いて数分のところにJR成田駅がありますので
ここで成田線というのに乗って
一時間ちょっとで銚子駅に到着するわけです。
うちの方から電車で銚子に行くのにはこの道筋が
最短時間で最安値であると思われます。

成田から銚子に進む中程のところに
佐原という駅があります。
この街には筆者の姪が住んでおりますが
立ち寄ると長居になって迷惑をかけることが明らかですし
何より我々の銚子行きが叶わなくなりますので
今回はここを通過して一路銚子を目指します。
この町はかの有名な伊能忠敬を生んだ街でありまして
筆者は伊能忠敬の生家を見たくて2005年10月10日
この地に遊んでいるのですね。
その当時はまだ姪はこの街にはいませんでした。

銚子の駅に到着したのはお昼少し前でした。
駅のホームにつながるようにして
オランダの風車をイメージした駅舎の向こうに
銚子電鉄のホームがあります。

銚子電鉄銚子駅遠景。
風車の羽根はもうありませんが、
そこは心眼で脳内補正ですね。
「ここから銚子電鉄に乗り換えるお客様はスイカのカードを
このパネルにタッチしてください」というようなことを書いた
スイカのタッチパネルがあります。
僕たちはとりあえず銚子の街に出て昼食をとるつもりですので
いちどJRの改札を出て駅前に出ました。

車道と歩道の境目には港の係留柱を並べてあります。おしゃれですね。
駅前に「ぬれ煎餅」の店がありました。
銚子電鉄とセットで有名になったお煎餅ですね。
話の種に少し買い込みます。

ところでせっかく銚子という有数の漁港に来たわけですから
海の幸を美味しく頂きたいじゃないですか、じゅる。
それでしかるべき店を探したのですが
それらしいお店はすでに列ができていて
ほかにおそば屋さんが数件ありました。
地元の人ならともかく、
わざわざ銚子でおそばでもないので
探し歩いて結局ホテルの二階にある和食屋「廣半」さんに入って
お寿司を頂くことができました。
美味しいお寿司でおなかがいっぱいになって
しばらくは歩く気がしないほどでしたが
銚電(もう略してるし)の時間が迫りますので駅に戻ることにします。

銚子駅の改札口で僕たちは当惑しました。
銚電の専用の改札口が見つからないのです。
困ってしまってJRの駅員さんに聞いたら
「銚電は列車内での切符販売ですので
この改札は無札(むさつ)で通ってください」と言うではないですか。
かくして僕たちはフリーで銚子駅の改札を通り抜けて
銚子電鉄の駅ホームに至ったのでありました。
へんなの。

銚子電鉄のホームは鉄道ファンと
にわか鉄道ファンと思しき人たちでいっぱいでした。
みんな思い思いのコンパクトカメラや
プロ級カメラを構えて写真を撮っています。
携帯カメラの人も大勢いましたが
いまの携帯カメラは僕のコンパクトカメラよりも
性能がいいですから問題ないですね。

数年前からの漫画「鉄子の旅」で
日本中のローカル線が有名になりましたが
中でも都内に近いローカル線の銚子電鉄は多くのファンを得ました。
その上今回はゴールデンウィークのおかげで大混雑です。
車内には「鉄子の旅」の漫画が貼ってありました。

長身の青年車掌さんから往復切符を買ってやっと気分が落ち着きます。
途中下車はしませんので一日切符ではありません。
車内は大混雑で車掌さんがなかなか回って来られませんでした。
でもどうやらこの混雑は休みの日ならではの現象のようでして
車両の老朽化を防ぐほどの収益は上がっていないようです。
客車はあちこちに錆が浮いて塗装がはがれそうです。
客車のデザインの統一性もありません。
安全のためにはレトロな
あたらしい客車を用意できればそれがいいのだと思います。
それでも田舎の線路をのんびり走る銚電はかわいらしい電車であります。

ことこと走って走りきった終点には外川駅があります。
ホームと電車の落差に少々とまどいます。

電車とホームの落差は正直ちょっと危険ですね。一両目と二両目車両のカラーリング違います。
また外川駅の駅舎は木造の姿のいい駅舎でありまして
絵を描く人写真を撮る人の創作意欲をかき立てています。

かわいくて美しい駅舎ですのでみんなで写真を撮っています。
この外川駅の近くには「外川ミニ郷土資料館」という
無料の博物館のようなものがありますので
ここに立ち寄ることにします。
入り口に
「入場は無料です。入るときに一声かけてください」と
書いてありました。
挨拶が入場料なんですね。
中に入って見学していると係の中年の女性が話しかけてきて
展示物の説明をしてくれました。
彼女によると初期の銚子の発展は
この外川地区の漁業に始まったというのです。

江戸初期に紀州から来たア山治郎右衛門と言う人が
外川漁港の建設に尽力して街が発達したのだそうです。
驚いたことに昭和初期まで
この地域の漁業の中心は外川地区だったというのですね。
街はいまも碁盤の目のような区画整理がされています。
歩いてみると確かにそうでした。

そこで教えてもらったア山治郎右衛門の碑を見ていこうと思いまして
外川の街を海に向かって下ります。
街と言っても商店はほとんど無くて
住宅街と船宿が目立ちます。
しばらく歩くと大杉神社という神社の境内に
「銚子漁業発祥地外川港 開祖 ア山治郎右衛門碑」と書かれた
ア山治郎右衛門の碑があります。

外川の人たちがア山治郎右衛門を愛しているのが伝わってきます。

また坂を登って外川駅方面に向かいます。
外川駅の裏側に出る形になって駅構内の廃列車を見ました。

任務を終えた老電車。
線路を渡るときに使わない線路に
引き込んだ廃列車をもう一度確認します。

老電車、正面から。
捨てるのにもお金がかかるのでしょうね。
この踏切から銚子方面を見ると
銚電の線路にいい感じに草が生えているのを観察できます。

こういうのもいずれは整備しなくちゃ、ですね。

この後僕たちは一駅歩くことにしました。
往路に見た犬吠の駅前の賑やかさに興味を持ったのですね。
犬吠の駅前は不思議な空間でした。

犬吠駅、駅舎および広場。
ポルトガル風のデザインの広場に
お祭りみたいな屋台が数軒出ていて
銚電の廃電車と思われる車両の内部を改装した
レストランなどがたちならんで客を呼び込んでいます。
駅舎内もおみやげ売り場が充実して
大変な賑わいです。

犬吠駅付近は駅を拠点として
地球の丸く見える丘展望台や
犬吠埼灯台、犬吠埼マリンパークなどを擁する
一大観光エリアなんですね。
そのお客さんたちで銚電の他の駅よりも賑わっている訳なんですね。
犬吠駅ホームでもホームに
収まりきれないほどのお客さんで賑わっていました。
電車に乗ると意外にすんなり収まって
もしかしたらホームの方が狭いんじゃないかと思うほどです。まさか。

人多すぎでちょっと危ない犬吠駅。
その犬吠駅から再び銚電の客となって銚子に向かいます。

復路に要する時間を考えると
そろそろ僕たちは帰らなくてはなりません。
銚子の駅についてホームにある時刻表を確認すると
うまい具合に30分後に成田行きの列車があるようです。
一度街に出ておみやげ屋さんをのぞく時間がとれそうです。
しかし不思議なことにホームには
成田行きと掲示された列車が止まっています。
時刻表にはすぐに出る電車は記載されていません。
直近で30分後です。
僕たちは狐につままれたような気分でしたが
結局いまここに止まっている電車は
30分後に発車予定の成田行き
そのものなのだという結論に達しました。
そのわずかな時間を利用して銚子の駅前付近を歩き回って
銚子土産を物色したりできました。
何も買わなかったけど。

結局30分後説は正解だったのですが、
始発とはいえ30分前からホームに止まって乗車を許すなんて
驚きました。
お客思いの素晴らしい配慮に感激です。
でもまさか30分後の列車が
ホームに止まっているとは思いませんでした。

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