旧安田邸



2007年05月05日


旧安田邸
地下鉄千代田線の千駄木の駅近くに旧安田邸という建物があります。
それが今年の4月から一般公開されるというので見学することにしました。

旧安田邸は
最初は豊島園創始者の藤田さんという人が
大正7年に建てた藤田邸だったそうですが
のちに大正12年に安田財閥の流れを汲む安田さんが購入して
平成7年まで住んでいたそうです。
建物は平成8年に日本ナショナルトラストに寄贈されたのだそうです。
大正期の和洋折衷の貴重な建物を保存するには
ナショナルトラストに寄付するのも一つの方法なのだと思いますね。

僕たちの家の方から安田邸に行くには千駄木駅は行きにくいので
今回は日暮里の駅から歩くことにしました。
そうすると途中で夕焼けだんだんで有名な
谷中銀座を通ることが出来るわけですね。
谷中銀座からよみせ通りを経て千駄木の駅をパスして
団子坂を登り切って右に曲がって2〜3分歩いたところに
目指す旧安田邸はあります。

このあたりは前にも歩いたことがありますが何度来ても楽しいところですね。
夕焼けだんだんは相変わらずの混雑で
老人のグループが夕焼けだんだんで記念写真を撮っていました。

夕焼けだんだんで写真を撮っている人を写真に撮る。

谷中銀座の方も歩くのが大変なほどの混雑で
老若男女善男善女で賑わっています。(善光寺?)
特にいくつかの店で(ていうか特に2店で)
メンチカツを求める人の列が出来ているのが目立ちました。
以前にこのことをテレビで見た記憶があります。
確かに美味しそうですけど並んでまで食べたいとは思いませんですね。
グルメじゃないし。

今回は僕たちは谷中銀座を楽しむのはそこそこに
一路安田邸を目指します。
安田邸は団子坂上の閑静な高級住宅街に埋もれてありました。

白い壁の向こうが旧安田邸です。
坂の下の道路の喧噪に比べてこのあたりは別世界です。
まわりの住宅の殆どが現代風の建物に改められているなか
旧安田邸は古き良き和洋折衷の時代の雰囲気をたたえているのでした。

玄関前で簡単な見学の案内と心得を聞きます。

まずは玄関前で簡単な説明を受けます。
建物の歴史と公開に至った経緯、
壁や襖に触ってはいけない、撮影は自由、敷地内は全面禁煙
と言うようなことですね。
至極当然のお話であります。

再建維持の協力金一人500円を払って中に入ります。
併せて柏餅とお茶を500円で頂けるそうですのでこれもお願いしました。
入ってすぐのところに応接間があります。

往時を偲ばせるソファー。
広々とした応接間に時代のついたソファーが置いてあります。
ソファーの一つ一つに
「座らないで下さい」と書いたパネルがおいてあって少し笑いました。
こうしておかないと座ってしまう人がいるのでしょうね。
応接間と庭の間にはL字型にサンルームがありまして
これがまた広々しています。

もう一つの応接間でありますね。

奥の和室に進むと「残月の間」という部屋に
五月人形が飾ってあるのを見ました。

豪華絢爛、五月人形。
僕のような無学のものにも
その凄さが何となくわかる見事な五月人形でありました。
ここで5月人形の説明を受けて分からないながらもひとしきり感心します。
何でも特定の人形師に特注した五月人形らしいです。
流石お金持ちのやることは違いますね。

その同じ部屋でお茶と柏餅のサービスを受けます。
美味しいお茶と美味しい柏餅で疲れが吹き飛びます。
何より安田家の座敷でお茶を飲んでいる事実が凄いですね。

美味しいお茶で一服した後はさらに進んで二階を見学します。

造作に贅を尽くした二階客間。
二階はどうやら客間のようです。
今までいくつかの建築を見学しましたが
どこの家も客間は高級な作りになっていますね。
お客をもてなそうと言う心が深く根付いているのですね。
床の間や違い棚や出窓風の桟やお洒落な照明など
贅をこらした造りの客間にひとしきり感じ入りました。

階段を下りて先ほどの応接室まで戻ると
ボランティアの人とおぼしき人がサンルームの説明をしていました。
床のタイルの修復に寄付を集めているとのことです。
「なにとぞよろしく」とのお話でしたので
貧者の一燈を募金させていただきました。

玄関まで戻るとさっき入るときには気づかなかった
懐かしい箱形電話機を見ました。

な、懐かしい電話機であります。
筆者が子供の頃父がよく近所の電話のある家まで電話を借りに言って
この電話機で話していたのを思い出します。

楽しかった旧安田邸を辞して
僕たちは「文京区立本郷図書館鴎外記念室」というところに行きました。

想像していたよりも簡素な感じの鴎外記念室。文京区立で入場無料でした。
ここはいまから3年前にこのあたりを歩いた際に行き損ねたところですので
今回は是非行きたかったんですね。

鴎外記念室はたまたま
「私のパッパ」という企画展を開いておりまして
鴎外の人となりを理解する助けになりました。
森鴎外が子供たちを溺愛していた様子が
家族の皆さんの書いたもので伝わってきます。
すばらしい企画であります。
それにしても鴎外ほどの巨人を親に持つと
鴎外の子供という役回りは大変だったろうとお察し申し上げます。

帰り道はよみせ通りに戻って
昨日NHKで見た指人形師の工房に立ち寄ってみました。

工房の中にたくさんの指人形が飾ってあります。
テレビでの放映の効果か工房は観光客で溢れていました。
見事な作品の数々にしばし見とれて
これほど造形が上手なら人形作りが楽しいだろうなと思いました。
うらやましい才能をお持ちのようです。

今回は昼食を済ませてからの外出にもかかわらず
充実した町歩きになりました。
今まで知らなかったことを知るのは楽しいことですね。
何も知らないからこそこの幸せが得られるわけです。
「無知なるものは幸いなり」を今回もまた証明してしまったわけですね。

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