百段階段



2010年06月20日


百段階段
目黒雅叙園で書道家の武田双雲氏の書道展が開かれているというので
見に行くことにしました。
この書道展は百段階段に繋がる部屋を使って行われておりまして
百段階段を併せて見学できるというわけです。
筆者は2004年にも雅叙園を訪れていますが
その際は見学できませんでした。
今思い出すとそのときは百段階段では假屋崎省吾氏の華道展をやっていて
それに入場すれば百段階段も見られたわけですね。
何で入らなかったのかよく分かりません。
当時のHPを見ても百段階段については触れておりません。
でもあのとき百段階段を見ることが出来なかったのは
ずっと気になっていたのです。
今回はその点も見所であります。

目黒駅から行人坂と言う坂を下って雅叙園に向かいます。

この坂の付近には昔行者さんが大勢住んでいたのだそうです。

途中で大円寺と言うお寺があります。
このお寺は前回も見学しましたが面白そうなのでまた寄り込みます。
大円寺は明和九年の大火の火元のお寺であります。
寺から出た火は折からの強風で瞬く間に
白金神田上野に燃え広がって浅草まで焼き尽くしたそうですから驚きです。
江戸の三大大火と言われるのも宜なるかなですね。

お寺の境内は6年前よりも施設が充実しているようです。
さらに以前からあったとしか思えない古い建物で
前には気付かなかったものもあって自分の注意力のなさにあきれます。

500羅漢はやっぱり圧巻ですね。

生身の釈迦如来という看板もあって興味津々です。

だって生身ですよ。

雅叙園に到着して最初に気付いたのは
以前入り口付近にあった「お七の井戸」がないことです。
どうやら工事中の塀に囲まれて見えなくなっているようです。
お七の悲恋物語は結婚式場の雅叙園には
不釣り合いですから扱いが難しいところですね。

雅叙園の館内にはいるとすぐの正面に大きな書が掛けてあります。
現在書道展開催中の武田双雲師の大作です。

見事な書にしばし見とれます。「人生」って書いてあります。分かるよ。

書の左側にチケット売り場があって
ここで書道展の入場券を買うことが出来ます。
もぎりのお姉さんを経て大きなエレベーターに乗り込みます。
広さは四畳半くらいのデパートでも見るくらいの大きさですが
天井の高さがかなりあってそのためとんでもなく大きいエレベータに感じます。
四方の壁や天井に螺鈿細工をふんだんに施した
豪華絢爛の工芸エレベーターです。
贅を尽くすというのはこういうのを言うのですね。
エレベーターを降りたところからは
写真撮影は禁止ですので慌ててカメラを鞄にしまいます。

でもここから先こそが写真に撮りたいところが一杯です。
だからこそ写真撮影がだめなんですね。

百段にわたる階段の途中にいくつもの部屋があって
その一部屋一部屋に趣向が凝らされているというわけです。
昔ここは料亭として使われていたそうですので
お金持ちが愛用していたのでしょうね。
著名な芸術家が各部屋を担当して腕をふるっています。
部屋は七つあって
十畝の間 魚樵の間 草丘の間 静水の間 
星光の間 清方の間 頂上の間 と呼ばれます。
どの部屋も四季の花鳥画、四季の草花、黒漆、螺鈿細工などが
ちりばめられて異次元にいるようです。
中でも魚礁の間に部屋全体が
彫刻、浮き彫りに囲まれている驚愕の空間でありました。
もちろんそれらの部屋のそれぞれにテーマがあって
誕生、家族、葛藤、自己対話、自由、開花となっています。
それぞれの部屋に武田双雲師の
工夫を凝らした書が展示されていて見るものを楽しませてくれます。

自己対話の部屋では覗き込むと我という字とともに
自分の姿が水面に映るという仕掛けです。

それにしてもやっぱり百段階段は凄いです。

会場を出たところで書道グッズの販売をしておりました。
ガラスのペーパーウェイトとミニ筆の根付けを買いました。

全長5センチの可愛らしいミニ筆

そのあと少しだけ本来の雅叙園を見学して帰路につきました。
雅叙園の館内はまるで竜宮城に迷い込んだかと思うほどの豪華絢爛きらびやかな空間でした。

世の中には凄いところがあるものですね。

帰り道の権之助坂が案外こたえて電車の中ではずっとうとうとしていたのでした。

戻る




戻る