立山黒部アルペンルート



2009年08月10日


立山黒部アルペンルート
夏休みを利用して
前から行きたかった立山黒部アルペンル−トに
行ってみることにしました。
はとバスの
「絶景!天空のアルペン越えと黒部峡谷鉄道2日間」
というツアーであります。
朝、新宿に集まってバスで黒部アルペンルートの入り口まで行って
手荷物だけでアルペンルートを横断して
ルートの終点には往路のバスが回り込んで待っていてくれる
という夢のようなツアーです。

新宿駅西口はとバス乗り場朝7:30集合は
小生には少々過酷な条件でありました。

初めてのはとバス。ワクワク。
こんなに早く出かけたのは久しぶりです。

遅れるのが心配で集合場所には早めに到着したのですが
どうやら参加する皆さんも同じだったようで
集合時間の15分前には
全員がそろって点呼も済んでしまいました。
路線バスではありませんので
そのままそこに留まっている理由もなくて
驚きの時間前出発となりました。

バスガイドさんは非常に達者な語り口で
聞くものを安心させてくれるベテランさんでした。
「渋滞が心配ですが皆様から頂いた15分を
最大限に活用して行程に遅れないように頑張ります」
とのお話でした。
考えてみればお盆シーズンの日曜日ですから
そろそろ夏休みにはいるところも多くなって
(うちがそうだし)
そのため道路が渋滞する可能性があるわけですね。

雨が心配な空模様でもありました。
今回のツアーは眺望を楽しむツアーですので
雨や霧に悩まされるツアーになるのは困ります。
天候ばかりは仕方のないことですが。

途中サービスエリアでお昼を食べて
その後はまっすぐに黒部に向かいます。
なにしろ関越自動車道を通って渋川沼田を通過
関越トンネルを抜けて越後湯沢から
長岡インターチェンジに至るコースを取るのですから
半端な距離ではありません。
途中藤岡ジャンクションから上信越自動車に入るコースもありましたが
渋滞情報もありそのまま関越を選んだとのことです。
距離もそう変わらない感じもします。
長岡からは一路西進して
親不知子不知を通って黒部に至るコースであります。
黒部に着いた頃にはあまり長い時間バスに乗っていたので
おしりが痛くなりました。

そのまま宇奈月温泉に到着して
街の一角にあるトロッコ列車乗り場で下車します。

トロッコ列車宇奈月駅。ここは黒部ダムの下流です。
ここで一日目のハイライトの
「トロッコ列車に乗る体験」ができるわけです。
トロッコ列車は黒部ダム建設の際に
作業員や資材を運ぶための作られた
建設用のインフラだったそうです。
その往復の景観が素晴らしいので
観光資源として再利用することになったのだそうです。
なるほど理にかなった話です。
トロッコ列車の乗り場に行って驚きましたですね。
混んでいるんです。

画面左側に客車が止まっています。
トロッコ列車の駅の前の広場は観光バスで一杯だし
駅舎の中はまわりじゅうひとひとひとといった感じです。
この感覚は今回の旅行中ずっとついて回る感覚でした。

その大混雑の中やっと自分たちの番が来て
どうやらトロッコに乗り込みます。
ところがこれが狭い!
とにかく凄く狭いのです。
向かいに座った家人とは膝がぶつかるし
隣のおじさんとはおしりから太ももが押し合って密着しています。
体の向きを変えることすらままなりません。
トロッコ列車体験はなかなかできないですけど
あの狭さは反則です。
この狭い車両に押し込まれていい加減うんざりしているところへ
勝手に写真を撮る商売のひとや
ビールやお菓子の販売が来たのには驚きました。

地獄のトロッコ往復を終えて宇奈月温泉の
宇奈月ニューオータニホテルに投宿いたしました。
ニューオータニの看板背負っているだけあって
格式のある立派なホテルでした。

夕食は多彩なおかずに圧倒されて
健痰家とは言えない小生には荷が重いものでした。
その上楽しみにしていたご飯が炊き込みご飯で
固形燃料で30分かけて目の前で炊くと言うじゃないですか。
僕はすぐにご飯が食べたいのに

食後一休みして大浴場の温泉に入ってみることにしました。
大浴場は広くてゆっくりと足を伸ばして
バスとトロッコの疲れをいやしたのでした。
外にも湯船があるというのでちょっと出てみました。
外のひんやりとした空気が苦手ですぐに室内に戻りました。

脱衣から出たところに自由に冷たい水が飲める設備がありました。
試しに飲んでみたらこれが美味しいのです。
市販されてるミネラルウォーターと同じですからね。
風呂上がりの渇いたのどにとても美味しいです。

お風呂から出たあと自販機でキリンビールを1本買って
売店で宇奈月ビールを2本買って部屋で酒盛りです。
宇奈月ビールを楽しんでいたら
すぐに良い気持ちになって眠くなってしまったのでした。

ご当地ビールはやっぱり飲まなくちゃ。美味しかったです。

翌日は朝から雨でした。
昨日の天気予報が外れて外はしとしと雨。
嘆いていても仕方がないので
朝食バイキングを食べてお出かけです。
雨に煙る山なみが恨めしいです。

とにかくはとバスに乗りこんで立山へ向かいます。
バスガイドさんはあくまでもポジティブな考えのひとで
行く先の方向の空が明るくなってきたとか
高くまで登れば雲の上に出て案外晴れているかもとか
バスに乗っている我々を励まします。
彼女の口調は不思議な説得力があって
なるほどそれもそうだと思わせるものがありました。

道路脇のレストランで本日の昼用の弁当を積み
車内で皆に配りました。
このお弁当が予想以上に大きいのです。

みんなお弁当持たされて当惑しています。
せっかく大きな荷物を車に残して
手ぶらでアルペンルートを渡れるのがこのコースのウリなのに
大きい弁当渡されて台無しです。
指定の鱒寿司を幕の内弁当に変えてもらえたのは良かったのですが
コンピュータのキーボードに匹敵するサイズの
お弁当を渡されて当惑する参加者なのでありました。

程なくバスは立山駅ケーブル乗り場へ到着しました。
ここではとバスを降りた僕たちは暗雲立ちこめるニュースを聞きます。
ケーブルカーが止まっていると言うのです。
雨のせいかと思ったら落石のためなのだそうです。
結局雨のせいなんでしょうけどね。
復旧の見通しが立たないそうで振り替えの高原バスで直接
室堂へ行くことになりました。

豪華高原バス。狭いケーブルカーに乗るよりもよかったかも。
高原バスはヘアピンカーブに次ぐヘアピンカーブの
恐ろしい道路を通ります。
路肩を踏み外したら300メートル下に
真っ逆さまというような道路を通るのです。
怖かったです。

ここ通ったときはすごく怖かったです。
それでも運転手さんの熟練の運転技術で無事
室堂と呼ばれるアルペンルート観光と登山の拠点に到着しました。
ここにある室堂ターミナルは山小屋みたいでした。
ただしロビーも展望台も売店も大混雑で
芋を洗うようでした。

ここは軽装の客と本格的な登山家が混在する不思議な空間でした。
室堂ターミナル着くとすぐにおじさんが僕たちを先導してくれます。
建物の3階に連れて行かれて集合写真を撮ります。
頼まないのに写真取るんですね。
この集合写真は後で希望者に販売するのですが
僕たちはお金がないので買いません。

室堂は標高2450メートルで
今回のツアーでもっとも標高の高いところです。
小生は小生の人生で最高の地点に立ちました。
さすがに高地だけあって寒いです。
意外にも雨は強くなくていっとき完全にやみました。

弁当を食べる場所は用意されていなくて
多くのひとが建物内の階段にすわりこんで
お昼の弁当を食べていました。
ひっきりなしに大勢の人が昇降する階段で
気配を消して自分の世界を作るわけですね。
周りの目を気にしていては弁当が食べられないのです。
なんだかちょっと悔しいことに弁当は旨かったです。

弁当を平らげて建物周辺を歩き回ります。
庭園内の展望ポイントから現在映画公開中の「劔岳」に出てくる
剱岳の稜線が見えることを発見してなんだか得した気分です。
ただ雲がかかって劔岳の山頂は見えませんでした。

山頂付近の厳しい自然が想像できる光景です。
時間が来てトンネルトロリーバスに乗り込んで移動します。
ちょうどバスが通れる程度の狭いトンネルの中を
トロリーバスで高速で移動するのは幻想的でした。

これが結構速いんです。操舵がほとんどできない狭さです。どうせトロリーバスだし。
トロリーバスは排気ガスが出ないから
トンネルでも問題ないわけですね。
10分ほど走ってロープウェイ乗り場「大観峰駅」に着きます。
この駅にも売店があって
各種おみやげやお団子など売っているんですから驚きます。

ここで又しばらく待ち時間がありました。
このあと乗るロープウェイは乗り場の大観峰駅から目的地の黒部平駅まで
途中の支柱がない珍しいロープウェイなのだそうです。
これで一気に500メートルを下るのですから凄いです。

雄大な大観峰駅からの展望
屋上の展望台からは遙か眼下の黒部平駅が小さく見えています。

小さく見える黒部平駅

ロープウェイの時間が近づいて列を作って並んでいると
ロープウェイ会社の若者が我々の前に来て
「それでは私からこのロープウェイについて簡単な説明をします」
と言って深々とお辞儀をしたのでした。
そのあと彼は確かに我々にロープウェイの説明をしたのですが
その口上はきわめて見事で笑わせたり感心させたり
5分ほどのわずかな時間に
その場にいる聴衆のほとんどの心をつかんでしまいました。
最後に彼が勧めた黒部の写真集はかなりの売れ行きを示したのでした。
僕たちも彼の話術に魅せられて本を一冊購入したのでありました。

すっかり楽しい気分になってロープウェイに乗ったわけですが
ロープウェイの中はかなり混んでいまして
天井から下がる吊革につかまってやっと立っていられます。
座席はおろか窓のそばにも近寄れません。
こんなに乗って大丈夫なのか心配です。

ほかのお客さんの頭越しに一枚。
黒部平まで降りると今度は下から大観峰の駅を見上げることになります。

山の中腹に駅がある不思議。
どうやって建設したのかを訝しく思うような山の中腹に
鉄筋コンクリートの建物が貼り付いています。
そこからロープウェイのカーゴが出入りしているのは不思議でさえあります。
よくあんなものを作ったものだと思いますですね。

ずいぶん怖いところに建てたものです。
この駅でもしばらく待ってこんどはケーブルカーで
黒部ダムまで400メートル近く下ります。

ずいぶん急なケーブルカーです。
今回は地下ですから何も見えません。
見えないのは仕方ないのですが
座席の狭いのには閉口しました。
重量の問題もありますから
なるべくコンパクトに作るのはわかりますが
向かいの座席の人と膝がぶつかる設計は改めるべきだと思いますね。

黒部湖の駅に着くとそこはもう黒部ダムです。

あの有名な黒部第四ダムですね。

ダムの上が道路状になっています。
今回はこのところの雨の関係で放水はありませんでしたが
この建築物の巨大さは十分観察できました。

放水は見られませんでしたが大建築物の迫力は十分です。
これを50年近く前に作ったわけですから
大変なご苦労があったと思いますね。
殉職した方々の碑などもありました。

工事関係者の方々のご苦労に頭が下がります。

ダムの雄姿に圧倒されたあとは
もう一度トロリーバスに乗って扇沢の駅まで行きます。
ここには朝僕たちと別れたはとバスが
迎えに来ているというわけですね。

僕たちを待っていてくれた懐かしいはとバス。
このバスにおさまったときは結構ほっとしましたですね。
あとはまっすぐ帰路につくだけというわけです。
夜の新宿に到着めでたく解散したのは夜の8時頃だったですね。

今回も大変楽しい旅ができたのでありました。
特にはとバスを利用したのは初めてでしたので
大変興味深い旅行になりました。
これからも機会を見てはとバスを利用したいと思っています。

旅行の翌日、近所の映画館で
「劔岳」を上映しているのを発見して見て参りました。
明治の人の山岳開発の苦労を目の当たりにできる
素晴らしい映画でした。
今日、普段着で立山黒部アルペンルートの如き難路を
踏破させてくれるインフラを作ってくれた方々に
改めて深く感謝をした次第です。

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