秩父ふたたび



2008年09月28日


秩父ふたたび
昨年の10月に車で行った秩父の町を
今度は鉄路で訪れてみることにしました。
一度、鉄道で行ってみたかったのです。
以前テレビで秩父鉄道の車内放送は面白いって
聞いたような気もします。
それも聞いてみたいじゃないですか。

例によって遅い朝食をとった後
次男に駅まで送ってもらって
朝霞台から東上線の人になりました。
それでも10時半に電車に乗ったのは上出来です。

我々は東上線の終点の寄居駅まで行きたいわけですが
線の終点駅まで行く電車はほとんど無くて一日に数本です。
代わりに小川町から寄居まで走る電車は沢山あって
これに乗り継げばほとんど不便がありません。
今回は乗り継ぎの旅を楽しむ旅だと考えたいものです。

志木駅で乗り換えたところたまたま乗った電車が
追加料金を払えば必ず座れると今評判の
TJライナーに使用されている車両だったのはラッキーでした。
早起きのおかげだったですね。
早くないだろ。

僕たちが乗ったときは
TJライナーとして乗ったわけではありませんでしたので
全部窓を背にしていましたが
TJライナーとして使用するときは
進行方向に向けられるものと推察します。

二人分ずつの座席で肘掛けが付いていました。

この肘掛けが意外に邪魔でして
少しでも斜め方向から座ると尻にぶつかって痛いです。
なお座席にはどこにも番号は付いていなくて
調べたら指定席ではなくて座席定員制なのだそうです。
「必ず座れます」というわけですね。

川越で駅のなかにEQUiAと言う
面白そうなエキナカがあるというので
乗り継ぎのわずかな時間でこれを見ていくことにしました。

そうしたらEQUiAはエキナカではなくてエキソトだったんですね。
改札を出なくちゃ入れなかったんです。
がっかり。

もともとそれほど時間はありませんでしたので
ここで改札を出る気にもなれず
おとなしくホームにまで戻ったのでした。
次に来た小川町行きの電車に乗って更に埼玉県を北上します。
車窓の風景がだんだん緑深く変わっていって
小川町に着く頃にはもうすっかり遠くに来た旅行者です。
夏に高山に行ったときのような非日常感ですね。

小川町は昔から和紙の町として有名です。
車窓から見える町の風景も古くからの豊かさを湛えた
凛とした風情を感じさせます。
地方都市としての風格があるわけですね。
鉄道は東上線のほかJRの八高線が走っています。

僕たちは小川町で乗り換え東上線の寄居行きに乗り換えました。

小川町発、寄居行き列車の雄姿
電車はいよいよ埼玉県の奥深くに向かいます。
目指すは東武東上線の終点駅「寄居」であります。
そもそも東上線というのは
東京と上州を結ぶという構想で出来たものらしいです。
上州までは届かなくて寄居が終点になっているわけですね。

小川町から寄居に至る車内はのどかなものでして
車内でパンを食べている化粧した女子高生もとっても自然で
人目を気にする風はありません。
20年くらい前に流行った言葉の
「ナチュラルに生きる」ってこういうことですよね。

寄居駅は東上線の終点ですが
同時に秩父鉄道の接続駅でもあります。
乗り継ぎ客は東上線エリアから出るときに
改札の内側にもかかわらずSUICAをタッチしなければならず
かつ数メートル離れた秩父鉄道のホームに向かう階段に入る際にも
もう一度SUICAをタッチしなければなりません。
わかりにくいです。

秩父鉄道寄居駅ホーム

とりあえず駅のホームにある待合室の中に座ります。
待合室にはおしゃべりに夢中の
傍若無人の若い女の子の二人連れがいて
時折びっくりするような大きな笑い声をたてます。
きっと自分の部屋にいるような気分なんでしょうね。
ナチュラルです。

秩父鉄道に乗ってみると
懐かしい感じの古い車両が使われていました。
椅子がすり切れているのもご愛敬です。
この秩父鉄道には平成4年までは東上線が乗り入れていたそうです。
きっと一気に三峯山口まで行く便があったのでしょうね。
乗りたかったです。
ただ期待していたような面白い車内放送はなくて
ごく普通の車内放送でした。

「野上」駅を通過する際には
ここに有名な眼科医院があることを思い出しました。
筆者が子供の頃は県内随一の名眼科医で
県内の患者は目の重い病気は皆野上を目指したものです。
そこの眼科の院長先生は(多分先代)
志木のごんべやま先生(先代)とご兄弟だと聞いたことがあります。

「長瀞」駅も懐かしい名前です。
小学校の時に遠足出来た覚えがあります。
あの有名な長瀞の岩畳に腰掛けて
荒川の上流の写生をしたんですね。

その長瀞を通り過ぎて電車は秩父駅に到着します。
秩父鉄道の秩父駅は流石に大きな駅でして
ここで下車する人も大勢いました。
僕たちは秩父駅のホームに立ったことが嬉しくて
あちこち写真を撮っていました。
またいつ秩父の写真を見たくなるか分かりませんからね。

憧れの秩父駅ホーム。
気がついたら僕たちのほかにはホームに人はいなくなっていて
どうやらみんな改札の方に行ってしまったようです。
名残惜しいホームを離れて跨線橋を渡って駅の改札口に行きます。
そうしたら既に駅の改札口はしまっていて
僕たちは改札を出ることが出来ません。

早く出ないと閉じこめられてしまう改札口
列車の本数が少ないので電車が到着するたびに
改札を開けるようにしているみたいなんですね。
それでも普通ならばSUICAをタッチすれば駅の外に出られるはずです。
しかし駅の改札の貼り紙には書いてありました。
「当駅ではSUICAは使えません。
SUICAでお出での方は駅員に言って現金でお支払い下さい」

つまり駅員さんの手を煩わさなければ
僕たちは改札を出ることが出来ないのです。

改札時間(そんなのあるのか?)を過ぎてしまった僕たちは
申し訳ない気持ちで一杯になりながらも
無人に切符売り場で遠慮がちに
「すみませーん」と駅舎内に声をかけたのです。
ところが人が出てくる気配はありません。
もう少し大きい声で呼んでみます。
まだです。
更に声を張り上げます。
奥の部屋で人が動くのが見えました。
これで安心と思っていたらまた見えなくなりました。
僕たちの声が聞こえてないようです。
ここにいたって僕たちは叫びましたね。
すみませーん!
駅員さんはやっと僕たちに気づいて出てきてくれました。
「あっ、どほもすいばせん、よりひからでふね」
彼の大きいほっぺにはどうやら沢山のお弁当が入っています。
お昼ご飯だったんですね。
申し訳ありませんでした。
今度からは駅に着いたらさっさと改札を通るようにします。

秩父鉄道秩父駅には駅ビルとして
一体化した秩父地場産センターがあります。
ここの物産館には多くの秩父の名産物が販売されています。
お酒や織物、お菓子、そば、うどん、野菜など非常に多彩な商品群です。
ついつい長居をしてしまう魅力的な物産館です。

秩父駅についたときは既にお昼を回っていて
僕たちはどこかでお昼を食べなくてはなりません。
ガイドブックによれば秩父の町はおそばが有名なのだそうで
それならばおそば屋さんを探しましょう。
幸い国道沿いのおそば屋さんの
「そば処大むら」がすぐに見つかりました。
中にはいるとほぼ満席です。

ああ、今にして思えばわらじ丼を食べれば良かった。こんなに宣伝していたのに。
地元の人も利用する優良店ですね。
大変美味しい天ぷらそばを頂いてお腹が満足しました。

お腹が一杯になったところでまず我々が目指したのは
前回時間切れで見ることが叶わなかった「秩父まつり会館」です。

秩父まつり会館参考写真。前回秩父行の時の写真。
秩父まつり会館は秩父神社のすぐそばで駅からも至近です。
このまつり会館は祭りの主役の笠鉾と屋台を各一つずつ展示してあって
また映写室ではハイビジョン映像で秩父夜祭の様子が放映されて
両者が相まって素晴らしい臨場感です。
おまけに会館職員による秩父屋台ばやしの実演まで見せていただいて
もう大満足です。
これは本物見たら興奮するでしょうね。

聞けば秩父夜祭は日本三大曳き山祭なのだそうで
後の二つは京都祇園祭と飛騨高山祭なのだそうですから凄いです。
(そういえば先月高山祭り屋台会館見ましたなあ)

まつり会館を見てすっかり満足した僕たちは
今回の小旅行はこのためにあったのだと思いましたですね。
もう帰っても差し支えないくらい満足しましたが
もう少し町を見ていくことにします。
線路の反対側に「道の駅ちちぶ」があるという話ですので
行ってみることにしました。

お城みたいな道の駅。
ほとんど車の遠乗りをしない僕たちは
道の駅を利用することがないのです。
たまには道の駅ものぞいてみようというわけですね。
行ってみれば一般道に出来たサービスエリアみたいなものですね。
それはそれで楽しくて地域の物産を見て回りました。
中には中国産の物産もありましたがご愛敬ですね。

ここからややしばらく歩いて西武秩父駅に向かいます。
今回はこの駅から西武線を利用して帰路につこうという計画ですね。
いろいろな電車に乗ってみるのが今回の旅の目的なのですから。
まつり会館は?
前回初めてこの駅を見たときはこの駅に付属する
「西武秩父仲見世通り」の充実に度肝を抜かれたものです。
いやあ、大したものですね。

なかなか見応えのある商店街であります。
電車の時間を調べて待ち時間をウインドウショッピングに充てます。
一回り冷やかして楽しんだあと
駅改札近くの「栗助」でいくつかお菓子を買いました。
このお店はその名の通り
栗の素材の味を生かした素晴らしい和菓子を売っています。

西武鉄道はの列車はおしゃれな感じで乗って快適でした。
何より座席に余裕があって空いているのが嬉しかったです。
ところが途中吾野あたりでリュックを背負った中高年のグループが
車内の席を埋めたちまち飽和状態になりました。
この人達が傍若無人に声高な世間話をはじめて
あまつさえビールを飲んだり果物を食べたり
やりたい放題です。
まあ、いや、べつにいいんですけどね、行楽ですからね。
中高年もナチュラルに生きているのですね。

更に列車は飯能所沢とすすみ目指す秋津に近づきます。
秋津で降りて武蔵野線の新秋津まで歩けば
うちの方まですぐですからね。
でも今回は我々はいつもと違うコースをたどることにしました。
すなわち秋津を通り過ぎてひばりヶ丘にいたり
ここからバスで朝霞台行きに乗る計画です。
バスが朝霞台駅に到着する三つほど前の最寄りのバス停で降りれば
我が家まで徒歩10分と言うことに気づいたのです。
なんて素晴らしい計画でしょう。

その計画は二つの誤算がありました。
一つは思いの外ひばりヶ丘の駅からバス停までが遠くて
道に迷いそうになったことです。
もう一つは小雨ながら雨が降ってきたことです。
雨の方は仕方がないことですが
バス停から家までの道は歩道が狭くて傘が邪魔なのでした。
それでもほぼ新座市を縦断するように走るこのバス路線は
小生に新鮮な楽しみを与えてくれました。
凄く面白かったです。

戻る




戻る