倉敷



2010年08月13日


倉敷
嬉しい夏休みです。
今年の夏は前から行きたかった倉敷に行くことにします。
昔々、筆者が二十歳を過ぎて数年の頃に深夜のテレビで
「クラシック倉敷」という惹句で観光都市、倉敷を宣伝していました。
小生はそのお洒落な言い回しに感心たのをよく憶えています。
画面では「倉敷においで下さい」と言った意味のテロップの背景に
真新しい倉敷市役所の建物が写っていました。
そのコマーシャルを見て
「蔵の町、倉敷」なイメージが僕の中に出来上がったのでした。
実際そうだし。
それで倉敷はいつか行ってみたい町のリストに入ったまま
三十数年の時を経てしまいました。
まったく時の経つのは早いものです。
(このまま馬齢を重ねることを考えると早くもっと上位のリストの
諸都市をこなさなければいけません。ま、行けるところから。)
そう言うわけで今回は倉敷に行くことになりました。

例によって朝早くから起きて新幹線に乗るのが一苦労です。
早起きはつらいものです。
新幹線は大変便利な乗り物で乗ってしまえば
驚くほどの速さで目的地に僕たちを運んでくれます。
どのくらい速いかというと東京から岡山まで
二時間二十分で着いてしまうくらいです。
乗ったらすぐに駅弁を食べてしまわないと食べ損ないます。
今回は駅弁じゃなくてほんのり屋のおにぎりでした。
美味しかったです。
今回乗った新幹線はのぞみのN700ですからうれしい新型車両です。

車窓を流れる風景も飛び去る感じで凄いです。
品川新横浜名古屋京都新大阪神戸を通り
うとうとしている間に岡山に着きました。
お昼は岡山駅にある新宿サボテンというトンカツ屋さんで食べました。
美味しかったです。
僕たちは岡山から在来線に乗り換えて倉敷に向かいます。

備中高梁行き列車。倉敷駅で下車します。
倉敷駅に着くと最初に目につくのが
駅に隣接した大きなデパート「天満屋」です。
広場を挟んで反対側にアパホテルがあります。
よく見ると駅の上はホテル倉敷になっています。

倉敷駅と天満屋。アパホテル二階から撮影。
アパホテルの二階にある倉敷駅前観光案内所に行って
倉敷てくてくマップという地図を貰いました。
それによると倉敷駅前に伸びる倉敷中央通りを進むより
センター街からえびす通りアーケードに入り本通り商店街を経て
アイビースクエアに向かうのが一番の近道のようです。

倉敷駅から延びるアーケード。

アイビースクエアは明治22年に出来た
倉敷紡績の工場を再開発したものだそうです。

倉敷駅から来た人はここから倉敷アイビースクエアに入ります。


こちらが倉敷アイビースクエアの玄関ですね。
今は宿泊施設や宴会場として利用されているわけですね。
お土産のアイビーショップやレストラン「アイビー」「蔦」があって便利です。
早速ホテルにチェックインします。


蔦に囲まれた広場だからアイビースクエアなんですね。

このあたりは江戸時代は天領で代官所があって
租税の集積地として栄えてそのため蔵が沢山建っていて
倉敷地とか倉屋敷と呼ばれそれが倉敷になったのだそうです。

倉敷の地名の由来となる風景ですね。


美観地区はその頃の雰囲気を今に伝えているんですね。

明治になって紡績業が栄えて代官所跡は倉敷紡績になり
それが終戦とともに閉鎖してその後昭和49年に
倉敷アイビースクエアとして再開発されたのだそうです。
グッジョブですね。
敷地内の倉紡記念館を見学しました。


倉紡記念館内部。写真撮影は許可されました。
倉紡の歴史を余すところ無く伝える素晴らしい記念館です。
倉敷紡績創業者の大原さんが大原美術館を作ったんですね、やっぱり。
その大原美術館を見に行きました。

大原美術館入口。
僕たちは本館と工芸東洋館を見ました。
本館のコレクションはとんでもなく凄くて
エルグレコ、ゴーギャン、モディリアーニ、モネ、ピカソ、藤田と言った具合です。
倉敷に行ったら必見です。

大原美術館本館玄関。
工芸東洋館は工芸館に濱田庄司、バーナードリーチ、棟方志功などが
展示されていて東洋館は中国古美術の仏像などが展示されています。
もうお腹いっぱいです。

このあと蔵の町をさまよっていたら倉敷公民館前に出ました。
倉敷公民館前で地図を広げて自分たちなりのオリエンテーションを付けていたら
自宅前の掃き掃除をしていた女性が近づいてきて
自宅の蔵作りの構造を説明してくれました。
それによると彼女の家の内部は中二階になっていて
なかなか使いやすいのだそうです。
さらに目の前の階段を登ると観龍寺があり
その境内から戦災を逃れたこの地区の蔵の屋根が
一望できると教えてくれました。
僕たちはいたく感心して早速この階段を登ることにしました。
教えて貰った通り眼下に蔵が軒を連ねている様子を
見ることが出来たのでした。

眼下には蔵が沢山。
この町には公式のボランティアガイドがいるほかに
どうやら町の人の多くが自発的ボランティアガイドをする用意がある
ように思われます。
ちょっと立ち止まって地図を見ていると
「ここをまっすぐ行くと○○があるよ」と話しかけてくるのです。
○○に行きたい訳じゃなくともこちらが行きたいところを指定してくれます。
親切です。
反面、町のあちこちに
「悪質な押しつけガイドにご注意下さい」と言う張り紙もあったりして
親切な町にも悩みがあるようです。

観龍寺を辞して再び町に出ます。
目指すは橘香堂美観地区店です。

むらすずめが美味しい橘香堂美観地区店。
と言うのも今回の旅行にはサービスでこの店に行くと
お菓子の「むらすずめ」とお茶がいただけるというクーポンがついているのです。
手元の倉敷てくてくマップを頼りに橘香堂に行くと
予定通りむらすずめを頂くことが出来ました。
美味しかったです。

このあたりはお菓子と言えばなんと言っても吉備団子ですね。
国の名前が吉備の国ですし古くから黍がとれたらしいですね。
何せ桃太郎がお腰に付けていたくらいですから凄いです。

さらにこのあたりは鬼の人形のお土産が多いです。
最初迂闊にも気付かなかったんですが
桃太郎のいた地方だから鬼のお土産が多いんですね。
桃太郎が今も岡山の経済に好影響を与えているわけですから
大切にしなくちゃ、ですね。
岡山には他にも備前焼、ガラス工芸、桃、白桃など
お土産になりそうなものがいっぱいあります。
ジャンル広すぎるくらいですね。

美味しいむらすずめを頂いて美観地区から少し足を伸ばします。
今回の旅行の宿泊候補でもあった倉敷国際ホテルを見たかったのです。
それに併設のレストラン「ウィステリア」も見たかったです。
毎週楽しみに見ている「デスパレートな妻たち」の住人は
ウィステリア通りに住んでいるんです。
ウィステリアって藤という意味なんですね。

そろそろ宿に戻ることにします。
帰り道、倉敷川の中橋のそばで豆吉倉敷店を見ました。

美味しい豆菓子専門店、豆吉倉敷店。
この店は道後温泉でも見た記憶があります。
各地に展開しているんですね。
美味しい甘納豆、その他を買い込んで大満足です。

道すがら夕食を食べるところを探しましたが
月曜定休日のところが多くてなかなか食べたい店に巡り会いません。
見つからないうちにアイビースクエアについてしまいました。
夕食はホテルじゃなくて外で食べるつもりでしたので
周辺のレストランの層の薄さにがっかりでした。
どうやら月曜日なのがいけなかったみたいです。
仕方がないのでホテル併設の和食レストラン「蔦」で食べることにしました。
豪華和食ディナーはお盆にいっぱいの小皿に目を奪われます。
美味しかったです。

夕食後また美観地区に繰り出します。
夜の倉敷美観地区は各店がライトアップして美しい町並みです。
歩き慣れるとわかるのですがこの美観地区はかなりコンパクトで
わずかな距離を歩くだけで非常に密度の高い観光を楽しめます。
この夕食後の散歩も愛美工房、オルゴールミュゼショップを始め
倉敷川に足を伸ばしてあの店この店とより込んでいたら
美観地区の端っこまで歩いてしまいました。
交差点の向こうのコンビニに寄って買い物をして
ホテルの部屋に戻ることにします。
部屋の冷蔵庫には飲み物が入っていないのです。

翌朝はバイキングの朝食でした。
宿泊客が思いの外大勢いらしていてびっくりしました。
小生はご飯と味噌汁の和食系でまとめてみました。
美味しかったです。

朝9時にチェックアウトしてホテルに荷物を預けて町に出ます。
アイビースクエアを出てすぐのところで
昨日から目を付けていた「やまう蒲鉾店」で蒲鉾を買います。
昨日この店の前で迷っていたら店で買い物をしていた人が
「ここの蒲鉾は美味しいわよ」って教えてくれたんです。
教えて貰った以上やっぱり買って帰らなくちゃ。
しかしこの町の人ってホント色々教えてくれますね。

倉敷館という観光案内所が有ったので今更ながらではありましたが
のぞいて行くことにしました。
佐藤忠良展が倉敷市立美術館で
8月11日から9月26日まで開催と書かれたポスターが貼ってありました。
これってこの間川越で見たやつですね。
ちょっと懐かしいかも。
僕らの旅行と入れ替わりですから見られません。

倉敷館の隣の倉敷民芸館に入ってみました。
ここは倉敷の江戸後期の蔵を利用して昭和23年に開館したそうです。
民衆的工芸という意味の民芸を倉敷周辺に留まらず
広く国内、世界に求めて展示しています。
僕は倉敷に集中した展示が見たかったです。

日本郷土玩具館は道路側が商店で奥が博物館です。
星野仙一記念館は野球の闘将星野仙一氏の記念館です。
まだ生きてるのに記念館は早い気がしますがそれだけ存在感があるのですね。

ここまで来てまだ見てないところはどこか考えてみました。
やっぱり残る課題は阿智神社ですね。
あそこは地図で見ると階段が長くて登る気にならないのです。
それでも覚悟を決めて近づいてみると
階段の段数が明示されているではないですか。
明朗会計は嬉しい心遣いですね。

阿智神社参道入口。
ゴールが分かっている場頑張る気にもなりますね。
階段下の表記によると
下から88段の米寿、61段の還暦、33段の厄除の三部構成らしいです。
                    
          


やっぱり結構な段数ですね。
しかし足利の織姫神社の階段よりはましです。
眺望に期待して登ることにします。
階段を上りきると境内に展望を目的にしたと思われる
四阿風の椅子と屋根があって参拝者を休ませてくれます。
眺望は昨日登った観龍寺の眺望遙かに凌ぐすばらしさで
美観地区の倉の屋根ばかりでなく遠く倉敷市役所まで見通せる眺望なのでした。

画面左隅の建物は倉敷市役所です。(たぶん)

再び長い階段を下りて商店街に出ます。
もうお昼の時間です。
少し歩いたところに讃岐うどん「かな泉倉敷店」が有りましたので
ここでお昼にすることにしました。

画面中央が「かな泉倉敷店」、その向こうの赤煉瓦が倉敷アイビースクエアです。
天ぷらざるうどんを頂きました。手打ちうどんらしい腰の強さが絶品です。
美味しかったです。
金魚鉢の中の職人さんの手打ちうどん実演に
外人観光客が興味を持って写真撮影していました。
手打ちの様子を見せる必要はないと思います。

美味しい讃岐うどんを食べて元気が出た僕たちは
一足のばして市営芸文館併設の「大山名人記念館」に
行ってみることにしました。

記念館は入場無料で大山名人の生涯をわかりやすくまとめてあります。
大山名人強かったですよね。
升田名人も強かったですよね。
中原名人が強くて大山危うしって時代もありましたね。
僕は二十歳くらいの時東京のデパートで
大山名人がお客に将棋の講演をしているのを見たことがあります。
あれはびっくりしましたね。
(大山だ!)
デパートって無茶しますね。

倉敷川では和船に乗ることが出来ます。
ただ距離はかなり短くて池のボートみたいなものですね。
実際倉敷川は川じゃなくて池なのだそうです。
舟に乗る人は船頭さんと同じ笠をかぶって乗船していました。

暑かったですからね。

昨日から気になっていたエルグレコに入ってみます。

大原美術館の所蔵品にちなんだ名前の「エルグレコ」。
内部は意外にも質素な広々さっぱりとした空間で
もっと古色蒼然とした昔の喫茶店風なのかと思っていたのでびっくり。
以前は何の建物だったのか尋ねたら
大原家の資産管理の事務所だったのだそうで納得しました。
冷たい美味しい水と美味しいコーヒーを飲んで生き返ります。

ここまでで大体僕たちの見たいものは網羅したので一度宿に戻ることにしました。
アイビースクエアに戻った時に食べたソフトクリームは美味しかったです。
観光地のソフトクリームには期待できないことが多いですが
アイビースクエアのソフトクリームは美味しかったです。
アイビーショップで少しお土産を買います。
備前焼のぐい飲みを購入しました。

ホテルのフロントで荷物を受け取ってあとは帰路につくばかりです。
時間的にはまだ少し早いのですがとにかくもう足が疲れてしまって歩けないのです。
重い荷物を背負って倉敷駅までたどり着きます。
電車の椅子に座ったらすぐに寝てしまいました。
乗り換えの都合で岡山駅前に出て桃太郎像を見ました。

昔松山に行った時にもこの像を見たのを思い出します。

帰路の新幹線もN700系でした。
室内の装備は400系よりも簡素になってより飛行機に近づいた気がします。
背もたれポケットの雑誌も車内案内もなくなったのはちょっと寂しいです。
新幹線に乗る前にさぼてんでひれかつ弁当を購入して車内夕食としました。
美味しかったです。
これで小生は二日続けてさぼてんの客となりました。
帰宅したのは10時過ぎでした。
「やっぱりうちはいいな」という旅行から帰った時のお約束で
無事家に着いたことを確認するのでした。
ああ楽しかった。

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