醤油の野田



2010年03月14日


醤油の野田
暖かくなって参りましたので町歩きに出かけます。
今回は醤油の街、野田に行くことにしました。
朝早く(10時45分は朝早くとは言いません)
家を出て北朝霞駅から武蔵野線に乗って
武蔵浦和駅で埼京線に乗り換えて大宮に行きます。
大宮で東武野田線に乗って野田市駅に向かうことにします。


早朝の東武野田線大宮駅。

日曜日のせいか電車は混んでいて座ることは出来ません。
大宮で東武野田線に乗る時にどうやら座席を確保して
椅子に座れました。
ところが数駅を過ぎると座席はどんどん空いてきて
7人掛けの座席に二人と言うくらいになりました。
岩槻駅あたりで何とかレンジャーを模した
コスチュームスーツを着込んだ数人の集団が乗り込んできましたが
あまりにもあからさまに正義の味方っぽいので
特に誰も気にとめる様子がありませんでした。
それでもやっている本人達は恥ずかしいのか
一人がビデオを構えてみんなで肩を組んで写り込んだりしていました。
「撮影だから仕方ないじゃん」って感じですね。
この人達は八木崎あたりで降りていきました。
どこかのイベントにでも行ったんでしょうね。
今日このなんとかレンジャーを見た子供達は家に帰って
「今日ね、今日ね、なんとかレンジャーが駅前にいたんだよ」って
興奮して報告するんでしょうね。

さらに電車が進んで「藤の牛島」駅に電車が着いた時
筆者は驚くべき光景を目にしました。


ドアの外には!

ホームに雑草が生えていたんです。
いえ、ホームに雑草が生えているのは別に不思議じゃありません。
小生が驚いたのは乗降客が電車に乗る時にも降りる時にも
必ず踏みしめる場所に雑草が生えていたことなのです。
この駅はよほど利用者が少ないのでしょうか。

その後春日部駅などのいくつかの駅を通り過ぎて
電車は目指す「野田市駅」に到着しました。


これが東武野田線の野田市駅。

この時点で既にお昼でしたので
僕たちはお昼を食べるところを探すことにしました。
駅周辺には手頃なファストフードが見あたりません。
電柱広告に寿司屋「清寿司」と有るのを見て
少し歩いてその店を目指すことにしました。
広告には手前踏切左折して300メートルとか書いてあるんですけど
彼方にある踏切までだけでも
500メートルくらい有りそうじゃないですか。(うそ)
なんだか遠そうですけど他に選択肢はなさそうですので
お寿司を目指して歩き始めます。
歩くことが目的の一つでもある僕たちの町歩きですから
寿司屋さんが遠いくらいで文句を言ってはいけません。
やや歩いてお寿司屋さんの前まで来ると
ちょうど何台かの車が店の前で止まって
「車だと意外にすぐ着くね」などと話しています。


どうやら何かの会合があるようです。(あとで法事だと判明)

僕たちが店にはいると店の人が「奥へどうぞ」というので
まっすぐ進んでみると広い座敷に箱膳がずらりと並んで
どうやら僕が一番乗りのようです。
いやいや違うでしょ。

この日はこの寿司屋で法事のあとの集まりがあるようで
寿司屋の人がちょうどタイミング良く現れた僕達を
間違えて案内したようなのですね。
ランチセットの寿司は大変美味しくて
お昼のお寿司を食べただけで僕たちは大満足なのでした。

そのあとキッコーマンの工場に付属する
「ものしりしょうゆ館」という博物館を見学しました。


キッコーマンならでは、醤油の博物館。

有名な醤油会社のキッコーマンは江戸初期から
野田で醤油造りをしていた茂木本家をはじめとする
茂木六家、高梨家、堀切家が合同して作った会社なのですね。


こんなに大きい醤油差しじゃ持てないです。

入場は無料で醤油の歴史や醤油の組成、醤油の作り方などについて
詳しい解説が展示されています。
猫に小判というのでしょうか、見てもよく分からないものばかりでした。
見学を終わって帰り際に見学者に記念品をくれるというので
行ってみたら卓上の醤油差しに入った醤油一瓶を貰えたのでした。
上の写真の醤油差しの小さいやつです。
これって結構嬉しいですね。
得しちゃった。

このあとは少し遠くまで歩いて
上花輪歴史館(高梨本家)に行くことにします。
途中香取神社により込んだりしながら現地に着いてみたら
なんとこの上花輪歴史館は現在閉館中なのだそうです。


がっかりしました。

仕方がないので野田市郷土博物館まで戻ることにしてもと来た道を戻ります。
キッコーマン本社の脇の道を入って野田市博物館と市民会館に到着します。


野田市内に燦然と輝くキッコーマン本社ビル。


これで市民会館というのですから珍しい。

野田市市民会館は茂木佐平治邸が野田市に寄付されたもので
大正期の贅を尽くした建物として大変興味深いものがあります。

茂木佐邸玄関は格式のあるもので
あとで聞いたら普段は使わなかった玄関なのだそうです。


由緒正しい茂木佐邸玄関。
茂木佐邸には東久邇宮殿下、三笠宮殿下がお泊まりになったというのですから凄いです。

邸内は長い廊下で結ばれてどの部屋にも廊下で行き来できます。
一部縁側は広々とした廊下の造りで半分は畳敷きになっています。


ここの廊下だけ道幅が一間ほどあります。

人寄りの際には廊下の座敷部分も
座布団を敷いて座敷に早変わりしたそうです。
この縁側は吉永小百合の演じる
シャープのアクオスのコマーシャルの撮影に使われたのだそうです。

台所もまた広々しています。


広々台所。使用人の人数も多かったみたいですからこのくらいは必要ですね。

真ん中のテーブルは上の板を外すと
丸ごとまな板だそうで甚だ合理的な造りでした。
床板を数枚外すと広大な床下収納が現れます。
階段で下りるようになっているんですから驚きです。

そろそろ家に帰ろうかと思っていたら
美術館が近くにあるという話が聞こえてきました。
よく聞いてみると茂木家の美術館が近くにあるというのです。
これは見ておかなくちゃと考えて
帰途につくのは延期して美術館に行ってみました。


意匠を凝らした茂木本家美術館。左に見える壁は瓦を使っています。

ここは「茂木本家美術館」というのだそうで
読んで字の如く茂木本家の当主が集めた
美術品の展示を目的としています。

美術館のドアは荘厳な雰囲気をたたえていて少し入りにくいくらいです。
勇気を出してドアを開けると受付に上品な女性がいて僕たちに
「ご予約ですか?」と尋ねました。
あとで調べたらこの美術館は原則として予約制なんですね。
空きが有れば予約なしでも見られると言うことでした。
僕たちが入れたのはラッキーなことなのでした。

「いいえ」
知らないというのは強いですね。(図々しいとも言う)
僕たちが予約客でないことを知っても
彼女は何事もなかったかのようにチケットを売ってくれました。
そのうえで館内の見所についての丁寧な解説を加えて下さいます。
展示されている美術品は充実のコレクションでありまして
梅原龍三郎をはじめ横山大観、千住博、舟越保武・・・、
いやもう凄いのなんのってああた。
一通り鑑賞したら再び受付の彼女が出てきて
いくつかの作品についてさらに詳しい解説をしてくれました。
彼女の応接に感心していたら今度は別の上品な中年女性が
僕たちに話しかけてくれました。

気さくな館長さんに恐縮。

彼女はこの美術館の館長さんで
我々に美術館の理念などを説明されいくつかの展示の説明までしてくれました。
僕たちは驚きましたですね。
一介の見学者の僕たちに館長自ら親しく話しかけられるなんて
普通はないことですもんね。

ひとしきりお話を伺ったあと僕たちは
併設のカフェでお菓子を頂こうと思いましたが時間切れで叶いませんでした。
代わりに売店でマンズワインのハーフサイズ赤白を求めて
うきうきと帰路についたのでした。

美術館から愛宕駅まで歩いたのですが
地図を見たら野田市駅の方が近いとあとで知りました。
いいんです、町歩きなんですから。


夕闇迫る愛宕駅前。カメラの後ろには大勢の人が歩いています。

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