一丁倫敦と明治生命館



2009年10月18日


一丁倫敦と明治生命館
昔々、明治の頃
東京丸の内に一丁倫敦と呼ばれる
短い距離の西洋風の街路がありました。
一丁(約百メートル強)にわたって
ロンドンのよう街並みだと評されたわけですね。

その中で特に歴史ある三菱一号館が
復元なっていまそちらで「一丁倫敦と丸の内スタイル」
という展示が行われているわけですね。
面白そうなので行ってみることにしました。

JR有楽町駅から丸の内方面に歩いて丸の内中通りを進みます。
広い歩道が確保されて快適な遊歩道のようです。
街路樹にはハロウィンの季節らしく
カボチャをくりぬいたものを模したオブジェが下げられています。

町はハロウィーンだそうです。
また歩道の所々には街角の美術館とも言うべき
アバンギャルドな感じの塑像がそこかしこに置かれています。

犬とか人とかの芸術、小生にはよくわかりません。

周辺のビルはどれも立派な建物ばかりです。
いずれを見ても日本を動かすような大きな会社が建ち並んでいます。
それらのビルに挟まれた遊歩道が
浮世離れしたまったりした感じで大変良いです。

ほどなくして眼前に現れた三菱一号館は噂通りの存在感のある建物です。
周りの建物はみな今の建物ですから
三菱一号館はいうなれば一人「一丁倫敦」の風情です。

画面中央の赤煉瓦ですね。
この建物が明治の初期に一丁並んだら驚いたでしょうなぁ。
さすが一丁倫敦最古参の建物を復元しただけあって
風格がありますですな。
これでもう少し時代がつけば完璧ですね。

丸の内中通りから三菱一号館の角を回り込んで
一号館とブリックスクエアと呼ばれる建物の中庭に入り込みます。
大勢の人が中庭に屯していました。
備え付けのいすに座って友人や恋人と話したり
家族連れがソフトクリームを楽しんだり
皆さん思い思いの休日の午後という感じです。

僕たちはもう随分お腹がすいていたので一刻の猶予もありません。
実はさっきからめぼしいところを当たってみたりしたのですが
満員で入れなかったりしていたのですね。
幸いブリックスクエアの地下にマンハッタングリルと言う
和牛のハンバーグを食べさせるところがあったので
久しぶりに牛のハンバーグを楽しむことにしました。
例の狂牛病騒ぎ以来
和牛とオージービーフしか食べないことにしている筆者は
なかなかハンバーグを食べる機会に恵まれないんですね。

いかにもニューヨーク風のマンハッタングリル。

美味しいハンバーグに満足して再び中庭に出ると
いよいよ今度は三菱一号館の内部に入ります。
館内では一号館の歴史や
復元過程での工事の様子などを展示してあるわけですね。
「一丁倫敦と丸の内スタイル展」は入場料500円です。
さすがに一号館建設当時の展示は資料が豊富で
見応えのあるものでした。


復元建物内部階段。展示品は写真撮れないのでせめて階段を。
展示は建設当時の明治の頃の
東京の社会やオフィスの風俗にまで及んで
通常では見ることのない
大変興味深い展示物に触れることが出来ます。

楽しくてお勉強になる展覧会をあとにして丸の内中通りに戻ると
道の向かい側に明治安田生命ビルがあります。
その奥に明治生命館と呼ばれる重文の建物があると言うので
これも覗いていくことにします。
なんと言ってもこちらの見学は
只だというのですから嬉しいじゃないですか。

エレベータで二階に上がり
案内の人に胸に付ける見学者のバッジをもらって
中にはいるともう気分はエリート保険マンです。
最初に驚かされるのは
建物の中とは思えないほどの大きな吹き抜け空間です。

この開放感は凄いですよ。壮麗にして広大な空間に驚愕しました。
一階と二階が巨大な吹き抜けを形成していて
二階は回廊のように部屋が配置されているのですね。
非常に贅沢な作りです。
二階にある会議室や食堂、応接間などが惜しみなく公開されていて
それは大変な見応えです。

廊下はあくまでも広く西洋の貴族の豪邸のようです。見たこと無いけど。
廊下からは広い視野で階下を見下ろすことが出来るため開放感が凄いです。
廊下から各部屋に入れるようになっていて(当たり前ですね)
順番に会議室や食堂や応接室を
のぞき込むことが出来るようになっています。
どの部屋もみな贅を尽くした造りになっていて圧倒されます。

この部屋で偉い人たちが会議をしたわけですね。
保険で損しないように保険保険とかあったんでしょうね、きっと。


この部屋で偉い人たちがお食事をしたわけですね。
カレーとかチャーハンとか盛りそばとか。


この部屋で偉い人たちが偉い人を応接したんですね。
だからこの部屋は偉い人しか入れなかったんですね。

なおこの明治生命館は戦後しばらくはGHQに接収されて
アメリカ極東空軍司令部(FEAF)として使用されていたのだそうです。
あの頃は国内のちょっといい建物はみんなGHQに接収されていましたよね。
戦争には負けたくないものです。

豪華な部屋を沢山見て随分経験値を上げた僕たちは
階段を下りて階下のロビーに降りると
もう一つ見るべきものがありました。
床にはめ込まれたアンモナイトです。

中生代白亜紀、アンモナイトの化石ですね。
このアンモナイトははめ込まれたものではなくて
石を切り出して床材にしたところ
このアンモナイトがあったものと思われますが
それはそれで凄いことですね。

明治生命館を辞して
建物の近くを走るシャトルルートに乗ってみることにしました。
これは丸の内界隈を15分おきに走る無料巡回バスです。
無料ですぜ。

シャトルルート特等席から丸の内の街並みを見る。
僕たちはこのコースのうち
丸の内マイプラザから新丸ビルまで
一周のおよそ半分を乗りました。
ちょうど東京駅の前あたりで降ります。

復元工事中の東京駅。戦前の立派な東京駅に生まれ変わる途中です。
ここから地下に潜って丸ノ内線で帰路についたのでありました。
丸の内、知らないところ多いです。
やっぱり今回の町歩きも面白かったのでありました。

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